この千駄ヶ谷食堂は昨年の6月頃開店したが、その後の推移が気になって来てみた。我が棲家の近所ということと、私のブログの検索で一番活躍しているお店だ。今日まで不動の検索ダントツ一番である。ごく普通の店であるが、千駄ヶ谷と食堂というフレーズが新鮮に映っているようだ。
昨年私がこの店を訪れたのは開店三日後くらいだったが、味よし、手頃、愛想よしで楽しませてもらった。
どう言う訳か、足が遠のいたが・・・・・・・「千駄ヶ谷食堂」
何となく気軽な町のレストラン・・・・食堂だ。アパレルのファッション系が周りを闊歩している。クリエティブな若者がワインとチョッとフレンチで、少しイタリアンなテーブルを楽しんでいた。そんな今時のお洒落な雰囲気・・・・・静かな、いい町の溜り場。
しかし、この溜り場が可笑しな状態になっている。店のドアーを開けたときに懸念したのだが、店の真ん中に集団しているお客が・・・・・「いらっしゃいませ」・・・・集団と離れて座ったが、いやな予感を確実にしたのが、店の外まで響き渡るようなオバサン軍団のかん高い声。更には子供の泣き声と、それを気持ちも無いのに大きな声で「静かに」とオバサンが子供を叱る。
幾つかの楽しい料理をオーダーしたが、「ブルスッケッタの盛り合わせ」とサラダで軍団の帰りを期待した。
嬌声と子供の泣き声と、くだらない話の内容は夜の静けさと反比例して盛り上がっていく。ブルスケッタを運んで来ながらシェフが詫びて行く姿は尋常ではない。
鶏のパテ・サーモン・ホタテ各2個とプロシュート・・・・・これで600円。わざわざ足を運んでも値する価値観です。良心的にシェフが手作りをしているのは一目瞭然で、料理にもそれが現れている。
「グリーンサラダ」とは言っても、グリーンバラエティー豊かです。7種類はパリッとした新鮮な野菜類が入っています。チョッと辛目のドレッシングはパンが捗ること、ビールでどんどんパンがいけてしまうのです。
クリエーターが静かに夕食を楽しんだり、女性が一人で読書をしながら白ワインを楽しんでいる姿をチラッと見ますが、長閑な住宅地のレストランなのです・・・・・本来は。
懐かしい開店当初の店の雰囲気(昨年)。ワンちゃんとテラスで食事、絵になるのです。
「お前が静かにしろ」と私は言いたかった。それでもこの店の商売、この不景気には有り難い客なんだろう。が、シェフも頭を抱えている・・・・当然、シェフに詫びて店を変える。
先週に仙石原のカレー屋を紹介したが、子供厳禁とファミリーを排除している。チェン店のカレーは子供でもいいかもしれないが、専門店のカレーは子供には味は分らないし、辛いばかり。観光地という場所柄、子供連れがいない訳は無いのだが、店として明快に但し書きで排除している。
我が物顔で騒がしいオバサン軍団が顧客として存在することは、この店の成長には大変な足枷である。本来は、お客と料理のレシピや考えを話しながら食を楽しむのが、この店の有り方だった。
お客が食の我侭を伝え、店が更に美味しさを極めて料理で応える。そこにこそ「美味しさ」と言う答えで信頼感が相互に作られる。
小さなレストランの成長は相互信頼関係が構築する「料理」というものが介在するから成り立っている。
場や会話をメインにして「料理」が添え物になると、レストランは崩壊する。特に閑静な住宅地ではだ。このような集団はファミレスや今時の居酒屋に行けばいいのだが、分らないから「オバサン」しているのだろう。
オバサン+集団+子供=店の崩壊。
ファミレスでもレストランは公共の場なのです。
店を活かすも殺すも・・・・客しだい。