茅葺の百姓家「三千や」 & 太平洋御殿場&WEST近辺 & 田舎蕎麦の極致 | KISHO director's blog

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人生のほとんどを広告マンとしての「食」に特化して考えてきた。愛食家として、これからは新しい観点で日本の「食」を考えていきたい。
もう一つ、人生とクラブライフ「ゴルフ」だ、太平洋クラブと富士カントリークラブの日常、箱根御殿場ライフを綴る。

太平洋クラブ御殿場コース&WESTの至近に、この蕎麦屋「三千や」がある。昨年の末にも「草季庵」を紹介したが、どちらも蕎麦は素晴らしい一家言を持っている。「草季庵」が理論的なら「三千や」は人間的といえる。

その、しみじみとした人間味溢れた蕎麦を紹介する。

太平洋の両コースの分岐・板妻の交差点を印野小学校方面に、ぶつかるT字あたりです。小さく案内板がありますが、迷うことを前提に探してください。

大きな百性家は3000坪の敷地。その屋敷の広さから「三千や」と命名された。店というよりは田舎の自家に帰ってきたという感じだろうか。田舎を持っていない私にとっては、これが田舎というものかと感嘆仕切り。
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見事な茅葺が豪壮な全容を現してくれた。まったくの古民家だけど暖簾と杉の木を斜めにカットした看板がお出迎え。
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玄関をガラッと開けると女将さんがお迎え。電気は暗くしているが、右サイドには暖炉の火勢いよく燃えさかっている。暖炉好きな私としては「これ!」と思わず感動の嵐。
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茅葺を守るために、程ほどな湿気と煤や熱を、屋根までに届けとばかりに対流させている。自然と共棲しているという造りは総てが自己調達。電気は太陽エネルギー・ガス熱代わりは木々と炭・水道は富士の湧水。


玄関脇から客間に入れてもらった。囲炉裏にも炭が入りコンコンと湯が沸いている。どんな歓待の言葉より、この沸いた湯の音が最大の歓迎の言葉だ。
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部屋の卓はどれも大きく、大きな庭から取ってきたと思われる花が設えてある。
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注文は「ぶっかけ蕎麦」「ざる蕎麦」蕎麦を打つ間に囲炉裏の縁で小さな酒宴を作らせてももらった。気の効いた女将は自家栽培の「白菜の浅漬け」を持ってきてくれた。これが美味いの何の・・・・囲炉裏の火と冷たい漬物がえもいわれる相性。
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宝の壺から焼酎を注ぎ・・・・・蕎麦湯でいただきました。値段も凄いが蕎麦湯も逸品。昼酒の楽しみを存分に味合わせてもらった。窓から廊下に陽がさし穏やかな冬のよき一日の始まりです。
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「ぶっかけ蕎麦」の登場。昔ながらの田舎風で、季節の地の野菜で飾られている。と言っても自家の野菜で全て賄っている。鶏の出汁で取った汁は濃い目だが何のその・・・・大根一本が丸のまんま出てきて、甘さを作り出してくれる。大量に卸ですり丼に入れる。更には齧りながら蕎麦をいただいていくのだ。生の大根の甘みが美味いの何の・・・・・・要体験だ。
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卓の横から見える庭は田舎の庭と言うよりは、広大屋敷の庭園と言ったほうが相応しい言葉になる。
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話し好きな女将さんは?と言うか、いつの間にか「おかあさん」呼称になっていた。長い長い「蕎麦繁盛記」を聞かせてもらい、酒が進むこと進むこと・・・・人生の素晴らしさと、積年の楽しみも教授されたようだ。
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畑から引っこ抜いてきたばかりという形容がピッタリの「大根」。ざる蕎麦の私も齧らせて貰いましたが、瑞々しく甘い大根を齧ったのは初めてですが、地の物の美味さと安心感をこの上なく感じました。
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「三千や」の広大な畑で採れた蕎麦は、水は一切使わず2:8の割合で配合され作られている。繋ぎは山芋で丹念に練り腰をつけて出来上がる。色も香りも田舎蕎麦の原型の様なもの。田舎蕎麦の物差しを知ったような感動を覚えた。


この店は料理で出すものはこの二品だけ。

「ぶっかけ蕎麦」

「ざる蕎麦」

あとは女将さんか、旦那の作る煮物か漬物。

「熱」

「冷」

二種類しかないのは分りやすい。


明快に食べて欲しいものを丹念に作る。更には訳の分らない物は使わない。全ての素材や材料は自家栽培の安心の食ばかり。

「商売であって」

「商売で無い」

しかし、作るものは責任を持って愛情豊かに作る・・・・しかも美味いは必須。


自分達の持ちうる自然財産を、努力と愛情で300%丁寧に表現する。田舎蕎麦と言うより人間蕎麦と言いたい。蕎麦を打ち始めた人が、団塊を中心として大勢居るそうだが、その人たちが求めている蕎麦の「何か」をこの店は持っている。


是非、行くべき店の一軒として勧める。

「三千や」・・・・・・・・御殿場は深いぞ・・・。


明日に続く。ざる蕎麦だ・・・・・・・。