キラー通り仙寿院とビクタースタジオの交差点を原宿の方向に歩くと、サザビーの本社と交差する点にこの店「ONE’S DINER」がある。スタバーの本社店舗と向こうを張って堂々と勝負している。
私にとっては、いつも不思議な人種が夜遅くまで屯している変な人の、変な店に映っている。が、その店を年に何度か利用することがある。変な人間の仲間入りしているのだ。
人は数メーター先のトンネルを幽霊トンネルと呼び、色々な逸話が闊歩しているが、私にとっては蔦の垂れ下がる情緒のあるトンネルに映る。本堂のある上に上がるとそれは綺麗に手入れをされたお寺さんとなっている。
すっかりクリスマス用にデコレーションされた店の玄関は中々のUSA。70年代のNYを少しだけ思い出すような造りは、ジーパンとスタジャンがよく似合うジャク&ベッティーの世界。
カウンターではミラーの電飾が車のキーに削られている。その傷の痛た痛さがこの店の魅力で、誰をもキッズ化させてしまう悪戯・・・・OKの店だ、と勝手に思っている。
当然ミラーと注文して&ハンバーガー。流れて来る音楽は当然70年代POP。意味もなくやたら中途半端に明るい照明は蛍光灯で寒々とするが、テキパキと調理を進めていくスタッフは好感が持てる。スタバのマニュアル通りの御愛想挨拶よりフレンドリーでいい。
商売柄どうしても、このカウンター辺りで座りスタッフの動きを楽しんでいる。動線が機械的に作られいかにもアメリカ的。誰でも順を追っていけば一つの商品というか料理が出来る仕組みとなっている。料理ではなく調理の合理化キッチンだ。
テーブル上はマスタードとケチャップと申し合わせたような「リーペリンソース」。一日中出しっぱなしでは、なかったかと・・・・。
「ハンバーガー」のプレート。女性用としては丁度いいサイズだが、男性用とすればかなり小さく感じる。
NYではこの三倍の大きさと思われる。殆んどプレートからはみ出さんばかりで、高さも山盛りという表現がピッタリという按排。
アメリカンナイズされた店。どうだろうか、そこまでやったら今時のマスコミニュースに載ると思うのだけど・・・・そこまでやれば本物になれる。
マスタードにケッチャップを絡ませてポテトを摘んでいれば、ミラーがはけていい酔い心地。
六本木の「ハンバーガーイン」が無くなったのはたぶん今年のこと。私にとっては最も愛した店の一つだったが消え去ってからその良さが分かるもの。何はともなく、取り合えづは六本木にさらにはバーガーインに、であった。金が無くばハンバーガーだけを買い、ビールは近くの酒屋で買って店の前に駐車して車の中で屯した。時間の流れなどは気にしたことは無く眠気が来るまで巷間で騒いでいた。
「ONE’S DINER」。思い出せば変な人がいると思った錯覚は自分に被ったものかも知れない。そんな記憶の遥か彼方にあるものが魅力だと潜在的に認識している・・・・・・そんな色々を引き出しを開けるように飛び出してくる店。
ハンバーガーと相対してサンドイッチがあるが、前者はアメリカ文化型で後者はヨーロッパ文化型。貴方はどっち派ですか。
ある意味では:
博打をしながら考えられた英国のサンドイッチ。
戦争をしながら考えられた米国のハンバーガー。
どちらにも食の文化度を感じられないが、この二国では致し方ない・・・・。