トップバッターを勤めたのは、
弁士・栗原ちまきさん。

この公演前日に、
観光のお客様相手に弁士を務めていました。
私も稽古の合間に拝見。
会場への入れ込みから30分バージョンの弁士までを一手に引き受けていて、
通常の語り隊の公演は、
大抵がひとりですべてを担当するそうです。
弁士はもとより、
お客様を会場へ引導して
前説してDVDのスィッチ押して活弁して…
昨日は30名程度のお客様でありましたが、
特に無声映画を観るために来たという訳ではなく、
ツアーの一環で立ち寄ったということ。
会場へ入って来るなり
『…で、ここで何を観るの?!』
と仰る方もちらほら…
その気でないお客様にご覧いただくというのは、
高級難度な技術を要すると思う。
私も経験ありますが、
お客様が集中するまでは結構大変。
昨日のお客様の中にはお酒が入っていらっしゃる方もいて、
悪い気持ちはないのだが、
上映が始まっても弁士に話しかけて来る(^^;
それを軽くいなして先へと進む、
この度胸は大したものでした…
が、この日のお客様は『当然』
しいんと固唾をのんで画面に見いっている。
彼女の語りに耳を傾けている…
からなのか?!
何気に硬い滑り出し…
昨日の“女将”なちまきさんは何処へ??
担当場面としては彼女の得意なパートだったので、
安心していたのだが…
あとで聞いてみると、
『しいんとしていたから』
という答えが返ってきた。
そうか。
そういうこともあるのか…
あの親父色満載の場を仕切っていても、
空間が変わるとまた違う。
そしてトップバッターはさらに緊張の度合いも
半端ではないのだろう。
しかし彼女も私の半端ない
鬼のダメ出しに耐えて?!
だいぶ変わってきていると思います。(自負)
あと一歩、“可愛い女”を研究すべし!!!
テーマは“落ち着き過ぎない“ことです♪(^.^)

二番手のこうめさん。
昨日も書いたように、
この方のお手並みは本当に大したもの。
一言で表すと”ニュートラル”
実にナチュラルなので、
今後何色にでも染められます。
この日の担当パートは、
ヒロインに想いを寄せる金持ちのぼんぼんが、
妄想でヒロインとイチャイチャするという場面。
この妄想が結構長くてやっかいなのだが、
彼女がしゃべるとちっとも長さを感じない。
おちゃらけパートが得意なこうめさん。
チャップリンやキートン、ロイドなどをやらせたら、
私は太刀打ち出来ないなと思いました(^^;
三番手は山崎くりぃむさん。
観光協会の方で、
常にみんなのマネージャー役を務めておられる。
常に稽古も自分流が一番後回しで、
この日も朝から仕込みで一苦労。
着替えなども一番最後となり、
落ちついてやれるかとハラハラでしたが
何のその!!
さすが観光協会!!
持ちパートが一番少ないことや
山崎さんが一番得意な場面であったことも幸いでしたが、
貫禄の活弁。
この方の“乙女度“は、メンバー随一。
(⬇お写真右側が山崎さん。
左側がこのあと上映する『三朝少年物語』を
撮ったリェヴェン・アントニーさん。)

四番手はみんみんさん。
山陰放送で16年間レポーター
として活躍していただけあって、
しゃべりは流暢。
あとは演技的な部分を掘り下げたら、
もっとよくなると思いました!!
(⬆昨日、あんなにいじめたくせに(^^;)
私はみんみんさんとは面識はあったけれど、
稽古を拝見したのは実は昨日が初めてでした。
女性が大半である語り隊に於いて
貴重な男性弁士でありますので、
是非にも頑張って頂きたい!!
五番手はアラカンます子さん。
⬇お写真手前の方です。

昨年の第三次米子映画事変・米子活弁デスマッチでは、
30分バージョンの後半パートを担当。
声優さんのような艶やかな声と、
軽いリズム感溢れるパートを得意とする彼女は、
今回はメンバーが最も苦手とする
物語に暗雲立ち込める重要パートを担当。
お芝居などもやっていらして経験豊富。
慣れないメンバーの着物の気付けを直したり、
表に裏にと大活躍でした。
ます子さんが私の手打ち公演へいらっしゃらなかったら、
私はこの公演には来られなかったです。
昨年12月の広島公演にもご来場下さっていて、
彼女の勉強熱心さには、
常に頭が下がる思いです。

六番手はお写真右側の松田いなほさん。
(左側が梅の丞さん)
私が拝見した方々の中で、
何と云っても彼女が一番の成長株です。
斎藤裕子の愛弟子と、
勝手に私が思っています(笑)
二年前まで
声が全く出来ていなかったいなほさんは、
実に地道に努力して来られました。
最も不器用だけれども、
最も努力家である彼女は、
私の出したダメ出しをちゃんと反芻していて、
この日も前日稽古のダメ出しを、
一番クリア出来ていたのはいなほさんでありました。
初めて映画を観る方の評価は違うかもしれませんが、
講師として目に見える結果を出してくれるのは
本当に嬉しいことですし、
こちら側の自信にも繋がります。
正直前日の稽古の時は、
『そうは言ったって、明日直ぐにはなぁ…』
と思っていた箇所を難なくクリアされると、
おお、それではハードルを少し上げてみよう!!
と、次への課題も見えて来ました。
継続は力なり
を私も勉強させて頂いてます。
七番手のラストをくくるのは、
三朝小唄を語り隊の隊長
梅の丞さん。
昨年の第三次米子映画事変では
30分バージョン前半パートを担当しました。
ネット買い求めたという
戦前の銘仙のお着物も艶やか。
いつもの活弁よりも
この七人でのリレー活弁での方が、
ぐっと自分を押さえた感じのバランスの良さ。
隊長らしく締めくくって下さいました。
ドキドキ、ハラハラ、バクバク
していたのは私だけ??
かくして初の試み
『三朝小唄』50分バージョンを七人で活弁は、
大成功で大団円をむかえたのであります!!!
~つづく~