(PH by K.FUKUZAWA/t太平洋)
"立つ鳥跡を濁さず”。
退きぎわが潔く、きれいなことをたとえた諺です。日本人の美意識をよく表していますね。
”一身上の都合により・・・”。
どんな理由であろうと退職願の文言は“一身上の都合”でなければならない。これが日本社会の“常識”です。
組織を抜けることは気が引けるのでしょう。脈々と受け継がれた村社会のDNAがそう思わせるのかも知れません。
辞めるからには理由があるはず。
それでも本音を漏らすことはしない。
文言上はあくまで儀礼で済ます。
こういう美意識をいったん壊してみるとどうなるか?
“上司がアホなので退職させていただきます”。
こういう退職届を提出して却下された人がいます。私の友人です。
“これまで世話になった人に対して失礼じゃないか”。
たしかにその通り。日本的な“常識”から逸脱した行為なのですから。
日本人がもっと自由で開放的な人生をおくるにはこの種の“常識”や美意識を壊してみることも必要なのではないか。私にはそう思えてきました。
会社に対する不満に蓋をしてしまい“跡を濁さない鳥”が果たして立派な鳥なのかどうか?
掟に縛られて、本来の自分を表現しないのは、体制の側に媚を振るだけの愚行なのではないでしょうか。
“立つ鳥跡を濁してみよ”。