目が覚める。吹き出る汗をパジャマのすそで拭いながら、枕元を探った。
寝る前と位置の変わらないスマートフォンは、午前三時を示している。
胸に手を当て深呼吸。電気をつける。チカチカと眩しい色に目をくらましながら、ベッド脇の本棚から一冊のノートとペンを取り出した。
「5月23日、午前3時起床」
わたしはノートに、たった今まで見ていた『自分が死ぬ夢』を、覚えている限り詳細に書き出していく。
中学校の卒業式を境に見るようになった、自分が死ぬ瞬間の夢。
初めて見たとき、あまりにもリアルなその光景に驚き、気持ち悪さで泣きながらトイレに駆け込み、嗚咽を漏らしながら嘔吐した。カラカラになった体では寝付くことができず、仕方なく勉強机に広げたままの数学のノートを一枚切り離して、日付と時間帯、そして夢の詳細を殴り書きした。
3月18日、午前3時
こわいゆめを見てトイレで吐いた。
午後2時過ぎ、わたしは自転車でどこかに向かっていた。急いでいるわけではなく、悠々と自転車をこいでいた。この道を通って向かう家は一軒しかない。
ビーフシチュー食べたい。
帰りに車の中で思い浮かんだ「ユメ日記」
主人公はもちろんユメちゃんです。今考えた。
自分が死ぬところを夢で見てしまう体質。
夢で見たことと違う行動を取ると、自分の代わりに誰かが死ぬお話。
ごめんなさい。知らない誰か。こうやってわたしはまた、見も知らぬ他人の命を奪って自らの寿命を延ばす。