ふと、思い出したことがある。
こんばんは、やまだだよ。
小学生の時の話。
わたしの家には柿の木があった。今はもう切ってしまった柿の木。
その下に、飼っている犬の小屋、と、小屋を囲んで2メートルほどのフェンスがあった。
学校から帰ってきて、フェンスの中を覗く。
やあ、元気?
犬に話しかける。
犬は餌の時間かとフェンスに前足をかける。
違うんだなぁ。手を鼻先まで持っていき、においを嗅がせる。
うちの犬は大型犬だから、フェンスに前足をかけると当時のわたしよりもおおきかった。
上がった目線の先に、まだ青い柿が一つなっているのが見えた。
ふと、猿蟹合戦を思い出す。
うちの犬に、この青い柿をぶつけたらどうなるんだろう?
もちろん、実行に移す。
わたしもフェンスに足をかけ、手を伸ばして柿を手に取る。
犬はそれを鼻で追いかけて、バランスを崩して両足を地面につけた。
枝を折ろうと、柿を曲げるがパキッと折れる音はしない。
グルグルと柿の実をまわして枝から切り離す作戦に移す。
枝の中、緑色の皮が見えたがまだ切れない。
犬はその様子を不思議そうに見ていた。
しばらく柿と戦っていると、
コラ!
と怒る声が後ろから響いた。
祖母のものだった。
家の中からわたしを見ている。
慌ててその場を後にし、家の中へ入る。
「何をしてたの?」
祖母の声。
「柿を食べさせてあげたかったの」
そういうと祖母は、優しく返した。
「あの柿はまだ青いから、もう少ししたらあげようね」
その後のことはよく覚えていない。
ただ、あの時止められていなかったら、わたしは本当に犬に柿をぶつけていたんだろうか?
こんな風に、人は人を殺すんだろうか。
ふと思い出した、昔の話。
2015/03/13

