思い返せば、まったくお金を使うことがなかった。
バーツもドルも残っている。
ママが払わせてくれなかったのもあるし、
まるで、本当の親戚かのように振舞ってくれた。
ホスピタリティーの完成型が、ママから学ぶことができた。
それには、自己犠牲が自己満足と重なる、稀有な資質を伴う。
早く帰りたい大きいおじさん。
荷物の多いおばさん。
一緒のシー・サ・ケットに行きたいおばあちゃん。
僕の予定を気にする小さいおじさん。
今日バンコクへ帰る僕。
時間制限のあるチャーター車。
すべてを満たすべくママが仕切る。
まず、おばあちゃんとおばさんとお別れ。
「また来てね!」とおばあちゃんが、日本語でお別れを
してくれた。
ママの気まぐれで同行している僕に対して、皆が暖かく
迎えてくれていたことを、最後まで感じていた。