ドンムアンに着いたけれど。

真夜中のそこは、かつてとはちがう。

大きな病院があった。

役割を終えた空港は、巨大な廃墟のようでもあった。

空港ホテルにでも、行こうかと思ったが、

ドンムアン駅から、北へ向かおうと思いついた。

初めてタイに来た、10年以上前も、空港から街へ

向かう途中で、バスターミナルで降り、チェンマイ行きの

夜行バスに乗ったなあ。

でも、あの時みたいに若くはないけれど。

思いつきで行動するところは、変わっていない。

深夜3時すぎの駅で、英語も十分通じないにもかかわらず

親切な当直の駅員さんが、なんとか理解して、

ノンカイ方面の時刻表をくれた。

いずれにしろ、始発までは、かなり時間がある。

待つにしても、本を読むほどの光源はないし、

うす暗闇のなか、数人の人々同様に、列車を待った。

ただ、待った。

これが、僕の旅だ。