HOSTAL SA JOAQUIN
1泊1700ペセタのシングル。
夕食は800ペセタ。この旅で一番よい宿だった。
家庭料理に満足したあと、アルバイシン地区まで
サクロモンテの丘方面へ散に出かけた。
洞窟のようなタブラオやバルもあり、
アイスを食べながら、
始めは心地よい、夜散歩だった。
ところが、(放射状といえば聞こえはいいが)
無秩序な小路のつながる迷路は、
僕を迷子にへと導いていた。
そう!
気づくと迷っていた。
だんだんと余裕がなくなる。
夜のアルバイシンを彷徨った。
パリでも夜道に迷ったが、それ以上に。
夜の闇が怖かった。
孤独も怖かった。
いっそこのあたりのペンションにでも、
泊まってしまおうかとさえ思った。
宿の近くに戻ると、子供が外で遊んでいた。
無邪気に。
この国では、子供も夜とともに過ごす。
僕は、何を怖れていたんだ?