アンタルヤでは、とてもとても忘れられない強烈な 出来事があった。

 それ以外語るべくものがない。

 それは、アンタルヤのことであって、アンタルヤのことでない。


 それは、夜便で行くアンタルヤ~テルアビヴ間のエルアル航空

 でのチェックインの事だった。

 そして、これから先の記載は珍しく、書きとめたままで完成する。

 それだけ当時は深かった。


 「こんなにも腹立たしく、悔しいことはない。

 差別とは何か?それは、屈辱と怒り、悲しみ。

 バックパックの中身は散乱し、心までもがかき乱された。

 失うものはないと思っていたが、日本人としてのプライドは

 打ち砕かれて、この思いをどこへぶつければいいのか、

 わからない。

 ただ、ただ疲れた。完全に疲れた。

 これほどのショックはない。

 やりきれないのと、疲労困憊で倒れそうだ。

 しかし、忘れない。この仕打ちを。

 なぜ、アフリカ系と黄色人種だけが、こんな屈辱を

 受けねばならないものか」


 最後尾の座席に沈みながら、拳を握り締める僕。