怪しげなマッサージ屋。

足つぼマッサージが1時間4ドル。

前より安い。でも、薄暗い店内と、部屋の区切り方が怪しい。

ピンク系のマッサージだったりして?

「トライ?セクシー・マッサージ?」なんていんちきな英語で薦められそうな予感!

すると、予想に反して男性マッサージ師がやってくる。


テクニックは合格点。

あんまり強くないところもよい。

僕は、あんまりハードなマッサージは苦手。

そもそも、こらないタイプなので。

なかなか満足して、靴を履いて清算しようとする。

しかし、最後が残念だった。

「PAY FOR ME」

一言も発することがなかった青年が言ったセリフ。

そうまるでセリフのようだった。

「払いやがれ!」「チップくれよ」「ちゃんとくれよ」

っていうかんじかな。


足元が軽くなったところで、着替えてオペラハウスへ行こう。

手持ちの、最も小奇麗な服装にて。

夜のオペラハウスは、なんだか華やいでいる。

僕の気分を投影しているだけ余計に。

ここでも、外国人が多い。

窓口の女の子が微笑む。

僕のなかで彼女の微笑みは「ハノイの女神」のようだ。

窓越しのスマイル。


クラッシックのコンサートなんて久しぶりだけど、いいなー。

J・ブラームス、F・リスト、P・I・チャイコフスキーなどのプログラムだった。

リストのプログラムの際には、グランドピアノが運ばれてきた。

こんなことあるんですねー。

マオさんという女性ピアニストは、なんだか綾戸智絵さんみたいな雰囲気。

第一バイオリン(っていうのかな)の男性は、キューティクルたっぷりのさらさらヘアー。

そればかり気になる。

席は、あの窓口の女の子が2階バルコニーで一番いいところ!と選んでくれた通りの

位置だった。

劇場内は、というと。パリのオペラ座なんかとは比べられないけれど、

入り口からの赤い絨毯のひかれたロビー階段や、劇場内のシャンデリアなど、

小さな劇場ながら、趣のあるものだった。


アンコールの後、人々のざわめきとともにオペラハウスを後にする。

夜10時をまわったハノイの中心部は、日中以上かと思えるバイクで溢れていた。

しかもカップルが多い。

ホンダやヤマハのバイク(日本でいう原付くらいのものが主)に乗って、男女が

夜のハノイを駆け抜ける姿。ホアン・キエム湖のほとりでも、カップルがベンチで

愛を囁く姿。

夜のハノイは、とても美しかった。


僕はというと、閉店前のモカ・カフェに滑り込んで、遅い夕食。

いつもどおり、愛想のない店員たちとゆるやかに流れる時間が

そこにはあった。