ケンは、とてもとても、いい人だった。
僕が行こうとした市内とは、方向の異なる村へ
行くのにもかかわらず、僕が心配だからと、
宿まで送ってから、遠回りしてくれるというのだ。

アメリカ人は、英語ですべて事足りてしまうから、
外国語を学ばない人が多く、世界中を英語だけで
えらそうに旅をしている!
という諸意見を、彼は反証しているかのようだ。
こちらで、なにかの研究をしているらしい。

タクシーの中では、不安の消えない僕。
流れてゆく、窓の外の景色もうつろだった。
ミッション・カトリックというバマコでは有名な
ドミトリー宿に到着する。
出てきたシスターは、フランス語のみ。
夜も遅い時間だったので、見るからに不機嫌そうだった。
ここも、ケンが通訳とお願いをしてくれ、2泊だけ
と制限付きで交渉成立。
最初は、断られたのだが、こんなフランス語も話せない外国人を
つき帰すのか!と交渉してくれた。
宿の周りには、胡散臭い青年たちがたむろしている。
真っ暗だから、余計にそう感じるのだろう。
少し心細くなる僕。
ここまでのタクシー代金だけでよいと僕に言って、
ケンは去っていった。
メルシィ!ケン。サンキュー!ケン。