「なんでもそろうルチータおばさんの店㊥」

うちのお母さんと、ルチータおばさんは幼馴染で、よく話す。
(といっても、ザレーナの村では、皆幼馴染みたいなものだが)
「あそこの店を見に行ったわ」
「いつ」
「昨日」
ルチータおばさんは、栗毛の頭をかきながら言った。
「果物なんかもたくさんあって、腐っているのなんて1つも
なかったわ。それに、あの照明の素晴らしいこと」
「そうね。でも冷たい感じで嫌だわ」
「でも、ミネラル水なんて5リットルのLUSOが、うちの店より
100エスクードも安かったのよ」
「そうね、でも嫌だわ私」
うちのお母さんは、ムキになっているようだった。
「それにねルキア、ミーニャやレオーネたちが、あの店で買い物
していたのよ」
「まあほんと?」
「会計所も2箇所もあるのに、列になっていたわ。そうそう、
会計係の子の一人は、あのガリシア人の家の末の娘だったわ」
「そういえば、隣国エスパーニャでは、ああいう店がたくさん
あるらしいわ」
「ああ、どうなるのかしら」
女手一人で、お店をやっているルチータおばさんの不安と失望は、
その乾いた瞳にみてとれるようだった。