糸魚川石物語93 糸魚川静岡構造線 | 糸魚川ジオパークのおじさんのブログ

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日本で最初に世界ジオパークに認定された糸魚川ジオパークの魅力や出来事などを紹介します。

 
 糸魚川ジオパークの大きな特徴には糸魚川静岡構造線の存在があります。明治時代の初期にドイツから日本に派遣された地質学者のナウマン博士が大地溝帯の存在を提唱しフォッサマグナ(大きな溝)と命名しました(1885)。
 後に東大の矢部長克教授により糸魚川静岡構造線が命名されました(1918)。更にその後研究によりフォッサマグナ地域の東側の境界が柏崎千葉構造線と新発田小出構造線に囲まれる範囲とされました。


 フォッサマグナと糸魚川静岡構造線を混同している方が未だに多くみられます。


 ところで日本列島を東西に分断する糸魚川静岡構造線の断層を直接見ることのできる所は多くありません。

現在知られている見学可能の断層には次の所が知られています。

① 糸魚川市のフォッサマグナパーク

② 小谷村の浦川と姫川の合流点

③ 小淵沢町の釜無川ミニグランドキャニオン

④ 山梨県武川村の露頭

⑤ 山梨県早川町新倉の露頭

があります。

 
 フォッサマグナミュージアムが創立された初期(1996-1997)に糸静線を巡る旅が実施されその時の記録を頼りにまとめてみました。

 糸魚川静岡構造線の断層でも小谷から松本・甲府付近の断層は地震を引き起こす活断層として特別に注目されていています。また、東日本大震災の後フォッサマグナ地帯は5cmも急な地盤の上昇がみられておりますのも不気味な存在となっています。



① 糸魚川市のフォッサマグナパーク


 西側の約4億年の変はんれい岩と1,600万年前の安山岩が接している。
露頭保護の石積みの為、断層面の破砕された約70cmの粘土層が見られます。
この断層露頭は人工的に露出させたものです。糸静線の断層の中でも最も時代差があり、観察しやすく整備されています。

② 小谷村の浦川と姫川の合流点

左側が5,600万年前の石坂流紋岩、右側が山本層と同じ時代1,500万年前の安山岩質の凝灰角礫岩です。


③ 小淵沢町の釜無川ミニグランドキャニオン


下が古い地層の礫岩層、上に1000万年前の花崗岩が押しかぶるように貫入している。

④ 山梨県北杜市武川の露頭


左の黒い泥岩は1,500万年前海底に溜まった地層、右側の花崗岩は1,000万年前の甲斐駒ケ岳の花崗岩です。

⑤ 山梨県早川町新倉の露頭


 断層の左側は3,000万年前の四万十帯の黒色頁岩、右側は1,700万年~1,500万年前の海底でできた凝灰角礫岩です。