過半数代表者のデタラメな選出方法 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

法律で定められた1日8時間、週40時間の労働時間を超えて労働者を働かせるために会社は、労働基準法36条に基づいて労使協定を結ぶ必要があります。これを三六協定とよびます。

労使協定を結ぶ相手方は、労働者の過半数を組織する労働組合があればその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)です。

過半数代表者がきちんと選ばれなかった場合、三六協定は違法無効となり、会社は労働者を残業させることはできません。

しかし、過半数代表者がきちんと選任されないことは実に多い。つい先日、相談を聞いた大手の会社の例はかなりひどいものでした。

会社のメールで、この人を過半数代表者に選任してよいかどうかネット投票をしてもらいたい、投票するに際しては無記名投票は許されない、信任するかどうか返事がなければ信任したものとみなす、不信任する場合は理由をきちんと欠かなければネット投票すらできない、というものでした。

この会社が都合良く残業させるために過半数代表者を選ばせていることはミエミエです。

しかし、裁判所は、この過半数代表者がきちんと選ばれたかどうかは厳しくチェックしています。過半数代表者の選出方法が不適切であることを理由に労使協定の効力を否定しています。たとえば、トーコロ事件判決(東京高裁H9.11.17、最高裁H13.6.22)。

したがって違法な残業命令に憤っている労働者は、過半数代表者の選任手続の資料をきちんと残しておいてほしい。
そうすれば、将来残業代請求をする際、労使協定が無効であることを主張することの有力な証拠になります。