森友事件の請求認諾と真実の解明 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

森友学園の不正をめぐって財務省が公文書を改ざんした問題で、改ざんを強要されたことを苦にして自殺した赤木俊夫さんの妻が国と佐川元理財局長を訴えていた裁判で、国が使ったやりかたには批判が上がっています。

損害賠償請求を全部認諾したのです。

請求の認諾」とは被告が原告の請求を認めることです。民事訴訟法上は判決と同一の効力があるので、それによって訴訟は終結し、被告は原告に対する支払い責任を負うことになります。

今回の森友事件訴訟は、国は形式的には原告の赤木さんの請求を認めたことになり敗訴ですが、実質的には勝訴です。
なぜかといえば、訴訟を続けていれば、証拠をどんどん提出しなければならず、また証人尋問の中で真実を明らかになってしまいます。真実の解明をされるという不都合な事態を国は避けることができる訳なので、国は実質的には勝訴です。

もともとこの事件は、安倍晋三元総理大臣をかばうため証拠を改ざんした疑いが持たれていました。その証拠改ざんに至る経緯と安倍元首相などの政治家の関与疑惑が話題になっていました。

国は請求を認めることによって、政治家の関与があったかどうかなど真実の解明を避けることができたのです。

それにしても、被告国の代理人たちは、このような不誠実な態度をとることに疑問を感じないのでしょうか。
国の代理人となるのは、訟務検事といって、検察官や裁判官(なれ合い?)の出向者です。法務省のホームページなどでは、訟務の役割について「国民全体の利益と個人の権利・利益との間に正しい調和を図る」などと述べていますが、今回の訟務検事のやり方では、政府上層部や政治家をかばったという非難を受けるだけです。
国民の納得を得られないでしょう。

また、賠償金の原資は国民の税金です。
実際に証拠改ざんを指示した関係者が賠償せずに、国が肩代わりで賠償したのでは、国民は納得しないでしょう。
国家賠償法1条2項には、故意・重過失のあった公務員個人に対する求償の規定があります。国は、ぜひ、今回の事件の黒幕たちに求償の裁判を起こして真実を解明するべきです。