弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
不当労働行為を救済するため、各都道府県に労働委員会がおかれています。
最高裁と同じように、東京には中央労働委員会があります。
労働委員会は、不誠実な団体交渉や労働組合に対する不利益取扱いなどに対して、裁判所のように審査をして救済命令をだしたりする機関です。
公益委員(学者や弁護士など)、参与員(使用者側・労働者側それぞれ)で構成されます。
いま私も1件の労働委員会での不当労働行為救済申立事件をしています。
ところが先日、労働委員会の事務局(県庁職員)から、審査中の事件の担当者(公益委員、使用者側参与員、労働者側参与員)全員が総入れ替えになったという連絡がありました。
これまでの3名は全員、任期満了で退任したというのです。
全員交代してしまったのは初めての経験です。
ところで、労働委員会のメンバーの選任については、選挙で選ばれるわけではなく、都道府県知事の裁量によって選ばれるため、透明性がないと昔から言われています。
たとえば、公益委員については、弁護士会などに諮問して適任の弁護士を推薦させるという方法もあるはずですが、そのようなことはされていません(少なくとも兵庫県は)。
以前には、使用者として不当労働行為を行っていた学者が、公正中立であるべき公益委員になったといって批判されたこともあります(兵庫県は)。
また、労働者側の参与員については、いろいろな潮流の労働組合、産業の労働組合があるので、そうした違いを適切に代表するべきだという意見が労働組合から出されることがありますが、そのようなことはされていません(少なくとも兵庫県は)。
各地で、選任に対する不服の訴訟が起こり、不公正な人選であると認定した裁判所の判決が出たこともあります。
労働委員会は、裁判所と同じように、個人の権利義務に大きな影響を与える準司法機関です。適任者が選ばれる必要はありますが、それだけでなく、手続の透明性も重要ではないでしょうか。