弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
もうすぐ裁判員裁判が始まります。1年に1回くらいのペースです。
コロナになってから2回目の裁判員裁判です。
マスクを付けて証人尋問をするので、分かりにくいことこの上ない。
ところで、刑事裁判で話題になるDNA鑑定と、コロナで有名になったPCR検査とは、実は、やっていることは同じです。
DNA鑑定とは
DNA鑑定は、DNAの塩基配列を分析する手段です。ヒトのDNA塩基は、A・T・G・Cの4種類がいろいろな組み合わせで配列しています。その配列の仕方は個人によって異なります。
そのため、遺留物である血痕、体液などのDNAを取り出して、その塩基配列を読み取れば個人識別(犯人識別)ができる、というわけです。
もちろん、犯人である確率、などと警察が言っているのは、あくまでも理論値であり、まったく同一のDNA型の人もありえるので、警察の鑑定を鵜呑みにするわけにはいきません。
ところで、犯罪捜査で採取される試料(血痕、体液など)は微量です。
微量では鑑定がしにくい。
そのため、試料を増やす必要があります。
そこで登場するのがPCR法です。
PCRとは
PCRは、DNAを増幅させる方法です。正式名称は、ポリメラーゼ連鎖反応です。やり方は省略しますが、試料の汚染が少なければ、本当にきれいに、PCRによってDNAを増幅することができるので、DNA鑑定のために必須のツールとなっています。
反対に、増幅が上手くいかなかった場合のDNA鑑定は悲劇です。
なお、RNAも、DNAと同じように、塩基配列(A・U・G・C)を盛っているので、PCRで増幅できます。
ところで、PCR検査は、塩基配列を増幅しながらその分量を測ることができるため、ウイルスの検出に有益です。ウイルスの正体は、核酸=DNA(またはRNA)そのものですから。
それが、今回、コロナウイルスの検出に利用されているのです。
さて、いまやDNAやRNAは中学か高校の生物で必修になっていますが、実は弁護士の多くは、文系=生物が苦手、です。
仕事でDNA鑑定(刑事事件、親子関係事件)をよく扱っているはずなのに、今回のコロナ騒動になるまで、PCRという言葉を知らなかったという弁護士もいました。DNAとかPCRの知識はさっぱり分からなかったそうです。
DNA鑑定の光と影(誤審=えん罪)を知るためには、その検査方法であるPCR法の問題点(増幅が上手にできたかどうか)は必須です。
敷衍すれば、弁護士たるもの、理系・自然科学の知識に詳しくなければなりません。