弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
先週、コロナの中で医療従事者などが倒れるような状況におかれていることに触れました。
その関連でいえば、日本の過労死認定基準、残業規制は世界で類を見ないほど厳しいことを思い出しました。
現在の過労死認定基準(2001年)は20年前に初めて制定されたもので、当時としては画期的でした。ちなみに私が弁護士になったばかりのことです。
その基準は、法定外労働時間(残業時間)が、直前1か月に100時間以上、または、直前6か月平均で月80時間以上の場合には原則として、過労死を労災認定するというものです。
その直後、労働時間の把握をタイムカードなどできちんと行うようにすべしとの通達が出されたこともあわせて、残業は減少し、過労死も減少するのではないかと期待しました。
ところが、その後、非正規雇用労働者の増加などで統計上の平均労働時間は減少していますが、過労死がなくなるような状況にはなっていません。
それどころか、2018年に制定された働き方改革関連法は、労使協定によって月80時間の残業上限を認めたので、過労死認定基準と変わりません。「過労死するまで働かせるお墨付き」という批判も出ました。
また、この働き方改革関連法にあわせて、医師は年1860時間までの時間外労働を容認することになりました。
この基準のもと、コロナで闘っている医師たちは、過労死するまで働かなければならないのです。
日本の労働時間法制・過労死法制は、きわめて歪んでいます。
昨年来、厚労省のなかで過労死認定基準を変更しようという動きがあったのですが、いまや尻すぼみの状況です。
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