弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
判例タイムズの11月号に、法人格否認の法理を用いた裁判例が載っていました。
法人格否認の法理とは、株式会社などの法人がまったくの形骸にすぎない場合や法律の適用を回避するために濫用されている場合に、その背後にいる者の責任を追及する制度です(と私は大学で教わりましたし、当時の鈴木竹雄「会社法」にも書いてあります)。
たとえば、ダミー会社を使って労働者に損害を与えたけれども、会社には金がなく、個人が実質お金をにぎっている場合に、個人責任を問う場合です。
ところが、今回の判例タイムズの事件は、
・社会保険労務士が強制執行を免れるために社会保険労務士法人を設立した事件で、社会保険労務士法人の責任を認めた事例です(東京地裁R1.11.27判タ1476-227)。
大学で教わった典型例は背後にいる個人の責任を追及するケースでしたが、今回の判例は個人が責任を免れるためにダミー会社を設立した場合にダミー会社に責任を負わせるケースです。
経営悪化した会社が別会社を設立して責任を免れようとするケースなどにも応用が利きそうです。
法律は不断に勉強する必要があります。