民法改正1-法定利率の変更 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
2020年4月1日から改正民法が施行されます。
 
そこで、民法改正が労働事件に及ぼす影響を、何回かに分けて整理します。
 
今回は、法定利率の変更

法定利率が変更になります。
 
・固定利率から、変動利率に変更(3年ごとの見直し期間がある)
・5%(民法)、6%(商法)だったものが、3%に変更(施行時点)
 
影響があるのは、賃金請求などの利率と、損害賠償の中間利息控除です。
 
1 利率の場面
 
 未払賃金の請求、労災による損害賠償請求の場合、実際に支払われるまで遅延損害金が発生します。
 この利率が3%に下がります。
 
 たとえば、30万円の賃金を1年後に支払う場合、これまでは
 株式会社(6%)の場合、18,000円の遅延損害金がつきました。
 
 これが、今後は、3%なので、9,000円に減ります。
 
 労働者にとっては不利益になります。
 
 ただし、賃金の支払確保等に関する法律6条があるので、賃金(退職金は除く)については、労働者が退職した日の翌日から支払をする日までの期間についての金利は14.6%です(現行どおり)。

2 中間利息控除
 
 労災などで、逸失利益(将来賃金)や将来費用(介護費用など)を損害賠償請求する場合、中間利息控除されています。
 
 中間利息控除とは?
 
 たとえば、毎年300万円の賃金額を損害賠償として受け取る場合、1年後の300万円・・10年後の300万円は、現在の300万円とは価値が異なります。
 そのため、将来分を1回で受け取る場合、将来の金額を現在の金額で割り引いて考える必要があります。
 
 たとえば1年後の300万円を現在の価値pに引き直す方程式は、
  p×103%=300万円
  p≒2,912,621円
 したがって、賠償金としては2,912,621円になります。
このようなことを2年後の賃金、3年後の賃金・・・と計算します。
 この103%というのは、法定利息が3%になるので、100+3%ということです。
 
 これまでであれば、105%で割り引いていました。そのばあい、1年後の賃金を現在の価値に割り引くと、2,857,142円です。
 3%の場合に比べて減額幅が大きい。
 
 つまり、法定利息が5%から3%にさがることによって、
 
 中間利息控除が少なくなる=労働者にとって利益になる
 
ということです。

 では、また、次回も民法改正です。
 
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