証人尋問は無駄(2) | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
証人尋問は無駄」という意見を紹介したところ、反響が多かったです。
では実際どうでしょう?

・裁判の勝敗は書証で決まる。だから、証人尋問は無意味
>この意見には同調できます。契約関係の訴訟では、契約書や領収書などがあれば、証人尋問するまでもないことが多い。
>ただし、書類がない契約や、事件事故などの場合は、証人尋問の役割が重要です。労働事件もそのようなことが多い。
 だから、証人尋問が無駄ではない事件も、たくさんあります。
 
>裁判官の中には、証人尋問の前に、書類などで勝敗を見定めている方もいます。それは事実です。
 その場合でも、証人尋問は、抱いている裁判官の心証をきちんと確実なことにするために役立つことが多い。裁判で提出された証拠の関係や、その背景などをイキイキと語ってもらうことによって、自分たちの主張の正当性を説得することができるからです。

・反対尋問をしても、相手方の証言を固めるだけで逆効果
>この意見は、強く賛成します。
 私は、証人尋問の主役は、相手方への反対尋問ではなく、依頼者に対する尋問(主尋問)だと考えています。
 その理由は、先ほどと同じことですが、裁判で提出された証拠の関係や、その背景などをイキイキと語ってもらうことによって、自分たちの主張の正当性を訴えることができるからです。
 相手の証言をつぶすことは難しいし、それよりも、原告と被告のどちらのストーリーが正しいか、分かりやすくして、裁判官に判断してもらうことが大事だと考えます。
 つまり、証人尋問で勝敗が決することは少ないけれども、書証の関係、背景などを裁判官に理解してもらい、勝訴判決を書きやすくさせる役割は残っているのです。

・証人尋問は弁護士の自己満足
・弁護士の尋問はへたくそ
>この意見は、耳が痛いですが、そのとおりだと思います。
 弁護士の自己満足になっているのは、現在の裁判が、昔のように証人尋問に重きを置いていないことを理解していないからです。
 また、相手を侮辱することに(のみ)生きがいを感じている弁護士も実際に実在すると感じます。
 そういう、弁護士ギャップが、裁判官から批判にさらされていると思います。

結論として、証人尋問を批判されるには理由があり、それは、証人尋問の役割に対する弁護士の認識・スタンスを改めることが必要なのです。