大阪地裁が有期雇用労働者の格差を是正した | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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(大阪地裁のwebから)

 
弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
有期雇用労働者の労働条件は、期間の定めがあることを理由に正社員と不合理な格差をつけてはいけないとしています(労働契約法20条)。
 
ただし、
1)職務の内容及び責任の程度
2)人材活用の仕組み
3)その他の事情
に相違があれば、格差があっても「不合理」ではない、とされています。
 
この労働契約法20条は、非正規労働者にとっては重要な法律条文です。
これは活用するべきです。
 
さて、この労働契約法20条の解釈について、日本郵政事件判決(大阪地裁平成30年2月21日)が、一定の手当の不支給について判断して、非正規労働者を勝訴させています。
 
格差の不合理かどうかが争点です。
先ほどの、1)~3)について相違がなければ格差は違法、相違があれば格差は適法になります。
相違があるかどうかは、非正規労働者と誰とを比較するかが問題になります。
 
悪名高い、メトロコマース事件判決(東京地裁平成29年3月23日)は、広く正社員労働者一般と非正規労働者を比較しました。
・正社員一般と比較する
  ↓
・幹部候補生もいる
  ↓
・職務内容、責任、人材活用が異なる
  ↓
・相違があるから格差は適法!
となってしまいます。
 
しかし、日本郵政事件の大阪地裁判決は、担当業務や異動等の範囲が限定されている点で類似する社員と比較するべきであると判示しています。
・類似する正社員と比較する
  ↓
・職務内容、責任、人材活用が同じである(似ている)
  ↓
・労働条件の相違・格差は違法(労働契約法20条)!

このように、大阪地裁判決は、原告を一定程度勝訴させています。
 
正規社員を非正規社員に置き換えようとする企業の動きに即して考えると、日本郵政事件(大阪地裁判決)の考え方が妥当です。
 
もうじき、最高裁判決が出されます。
 
 
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