「働き方改革」で労働者ゼロ | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
先月まで神戸新聞社に展示してあった、マジンガーZです。
長田の鉄人28号とどちらが強いか分かりません。
 
働き方改革法律案要綱の5回目です。
これまで、
・労働生産性向上を目的とすることの疑問
・長時間労働規制の不十分さ
・残業代ゼロ法案の問題
・労働条件差別の是正への一歩
について説明してきました。
 
今回は、労働政策とは思えない「働き方改革」の考え方について述べます。
 
「働き方改革」のキーワードの1つに、「多様な就業形態の普及」があります。
この「多様な就業形態」は、正規労働者・非正規労働者の区別だけを意味していません。
この中には、フリーランサー、業務請負、個人委託といった、「労働者」ではない人たちも含まれています。テレワーカーなどは雇用形態がはっきりしない場合もあります。
 
「多様な雇用形態」ではなく「多様な就業形態」といっているのは、そうした文脈です。
実際、厚労省の検討会報告書「働き方の未来2035」のなかでは、雇用関係だけを対象としない将来像が出てきます。
 
安倍首相は「非正規という言葉を一掃する」と発言したことがありますが、このままでは「労働者という言葉も一掃する」となりかねません。
これはたいへん危険。
 
労働者であれば、労働時間の上限規制や、労災補償、失業保険、有給休暇など、いろいろな制度を利用できます。
個人事業主になってしまうと、労働者保護制度を受けることができなくなります
 
「多様な就業形態」のかけ声によって、また「偽装請負」、「名ばかり~」がはやり出すおそれが高い。
 
働き方改革は、働き手を保護するための制度を中心に進めていくべきです。
 
 
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