労働局の紛争解決制度の惨状 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
2016年中に兵庫労働局(兵庫県)に寄せられた相談件数は5万4903件でした。
その内訳は、多い順に、パワハラ解雇自己都合退職労働条件引き下げ、です。
自己都合退職なのに労働相談するのは、実際には退職強要などが問題だったなのでしょう。
 
おどろくほどの相談件数です。
それよりおどろくのは、それだけ相談があっても解決に結びつかないことです。
 
労働局がトラブル解決をはかる「個別労働紛争解決制度」の利用実績はきわめて少なく、「あっせん」手続までが行われたのはわずか67件ということです。
しかも、あっせん手続まで行った67件のうち、解決したのはたった11件でした。35件については会社があっせん手続に参加すらしなかったというのです。
 
労働問題がほとんど解決できていないという悲惨な状況です。
 
労働局は、無料で利用できることがメリットです。セクハラ、マタハラなどは労働局の男女雇用均等室が役に立つこともあります。
しかし、行政機関が、強制力のない仕組みで問題解決を図ることの限界がみえています。
 
解雇など当事者の対立が激しいものは、強制力を伴う裁判などでなければ解決できない。
 
労働審判という簡易な迅速な裁判手続もおすすめです。
事案によっては、労働局に相談することだけでなく、裁判や労働審判も考えてほしい。