こんにちは、弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
弁護士の研修
弁護士は法律を駆使して依頼者のために働く仕事です。
法律は仕事にとって一番大事なので、法改正後の研修会は受けるよう努力しています。
日本弁護士連合会(日弁連)が研修をインターネット中継しているので、自宅でも勉強することができるようになり、たいへん便利です。
さて、最近、民法が大改正されることになりました。
民法改正が、労働者にどう影響あるのか、ちょっと見てみましょう。
残業代請求に時効はあるのか?
未払賃金、おもに残業代の支払いを求めたい、という相談はたくさんあります。
「入社以来ずっと残業代をもらっていない」という相談も多いし、残業代をカットされている人もけっこう多い。
今までの残業代をぜんぶ支払ってほしい、という切実なご要望はよく出てきます。
ところが、賃金(残業代も)の請求は、過去2年分を超えると、時効で消滅することになっています(労働基準法)。
何十年も残業代未払いが続いた人も同じです。
賃金の時効は短い!
賃金などの権利は、一定の期間が経つと、「時効」で消滅します。この一定の期間については民法などでいろいろ細かいルールが決まっていました。
最初に書いたように、最近この民法が大改正され、消滅時効の期間を原則5年に統一することになりました。
したがって、残業代が5年前の分から請求できるように伸びた、と喜んでしまいそうです。
民法改正でも時効は変わらない
ところが、残業代など賃金の時効は、民法ではなく、労働基準法で決められているため、民法改正はなにも関係がありません。
つまり、民法改正がされてもされなくても、時効消滅する期間は2年のままです。
まとめ
他の権利が5年で時効になるのに、賃金・残業代はたった2年間で時効になるのは、バランスが悪い。
特に、労働基準法は、労働者を守るための法律です。
民法よりも労働基準法のほうが、労働者に手厚くなければいけないはずです。
それなのに、労働基準法のために、賃金・残業代の請求が、かえって短くなってしまうのはおかしい。
今後、時効期間の見直しは必要でしょう。
しかし、とりあえずの方法としては、過去分の未払い賃金をすぐに請求しましょう。
請求すれば時効が(短期間ですが)中断されるからです。
私が依頼を受けた場合は、何はともあれ、すぐに、内容証明郵便を使って残業代請求をしています。