民法466条の4(2020年4月1日施行予定) | 司法試験で検証してみた仮説 弁護士が語る勉強法+α

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受験生時代にセオリーを無視しがちだった弁護士が、自分の体験をもとに若干変わった勉強法その他を紹介します。

(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え)
第466条の4 第466条第3項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。
2 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる。


(e-Gove法令検索より)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

 

下線部は、法務省のページにある「新旧対照条文」に付されているものです。

(■ 新旧対照条文 【PDF】)

http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf


466条3項は、譲渡制限特約付の場合における、債務者の履行拒絶や譲渡人への弁済等の対抗を認めた規定です。


(債権の譲渡性)
第466条 略
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 略


債権執行について、債権の譲受人のような地位にある差押債権者に対しても、上記の履行拒絶や対抗を認めるべきかというと、認めないというのが判例※で、本条1項で明文化します。

譲渡制限特約という当事者の合意で、民事執行法上の強制執行をできなくするべきでないからです。

(以上について一問一答p170)

本条2項は、悪意重過失で債務者に弁済等を対抗される譲受人が、債権の強制執行を受けた場合は、466条3項と同じ効果が生じるという規定です(我妻コンメンタールp908)。


※最判昭和45年4月10日民集24巻4号240頁

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55072

転付命令というのは、現在は民事執行法に規定があります。

(転付命令)

第159条 
執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2 略
(転付命令の効力)
第160条 
差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
 
差押禁止債権についても民事執行法に規定があります。
この条文に当たらない場合に、特約で差押えできなくすべきではないということです。
(差押禁止債権)
第152条 
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3 略