弟子からのイギリス便り
私の古巣JOHN LOBB LONDONで働き始めた I君からイギリス便りが届きました![]()
今日から初出勤です! 頑張ります。とLOBBで与えられた、ベンチ(作業机)の写真を送ってきてくれました。
私のブランドとお教室の名前についている
"Bench"(ベンチ) とはこれの事よ!↓ だいぶ年季が入っているの渡されたね。
同じ部屋で働くI君の同僚が、私の元同期の現社長の息子さん(赤ちゃんの頃を知っている![]()
)とのことで、
時間の流れを感じると共に、縁も感じました。なんだか嬉しいです。
また、JOHN LOBBは7代目も働いているという、家族経営の老舗として素晴らしいですね。
懐かしいShop 地下の工房↓
I君は早速初日から、修理のオールソール取り替えの仕事を与えられビビりながらも気合が入っておりましたが
私は社長に「戦力になる弟子を送ります」と言ってあるので、少し試され期間かな?笑
実力を発揮し、技術に磨きがかかることでしょう。
海外へ旅立っていた弟子達が活躍している話を聞くたびに、彼らの純粋な「最高の靴を作りたい!」という夢を語っていた
澄んで力強い目力と、諦めずに努力していた姿、教室で6時間授業を受けた後に家に帰ってからも靴作りをしていて、いつ寝てるの?と心配しても
楽しそうに、失敗したところ、難しかったところ、やり直したいところ、何度も練習したいところなどを楽しそうに語っていた事などを思い出して、
立派に靴職人になれたことを、心から嬉しく思っています。
私が30年前にイギリスに渡り、JOHN LOBB LONDONに入社した時は、日本人はおろか、アジア人の入社も初めてで、女性も少なく、周りも戸惑ってたようですし、私も乗り越えねばならないことが多過ぎて、真っ暗な道を手探りで歩いていたような感じでした。
ですが、最高級の材料を使い、「最高の靴を作ろう!」というワークショップ(工房)で、一流の職人達と共に働けたことは、
靴職人として、これ以上恵まれた環境はなく有難い経験をさせて頂けました。
そんな職場をなぜ辞めた?とよく聞かれますが、
そんな夢のような恵まれた環境の中で約10年働く中で、
自分の30年後が見えるように思えました。
自分の未来が見えることほど”つまらないこと”はないな〜と。
その頃、私は自分で木型から底付けまで出来るようになっていたので、
『一人で独立しようかな?全部まるまる一足を一人で作るの!』と同僚達に話したところ
全員が「無理だね」「そんなことは出来っこない」と言ったので、『これだ!』と思いました。
靴の工房は通常、分業です。
木型は木型職人、革の裁断はクリッカー、型紙はパタンナー、製甲はクローザー、底付けはボトムメーカー。
それぞれの工程は一人前になるまで、数年を要するので、全部習得するには10年かかります。
その上、資金を調達し、経営までするとなると、「やめとけ」と言いたくなりますよね。
でもね、誰もが出来ないと思っていることが出来たら、新しい道が開けるし、未来には誰も見たことがないことが起こるはず!
それに、一人で1足仕上げることができた時、職人は初めて自由になれるのではないか。
職人は仕事が楽しいのを良いことに搾取されがちだ。。。
そういう思いで進んだ20年。
日本で仕込んだ弟子がイギリスで働くという、見たことがなかったことが見れました。
海外からの日本に靴作りを学びにくる人達と大勢会えたこと、オンラインで遠方の方々に靴作りを教えられること、
「靴を作る」という極めてニッチなことに、多くの方々が興味を持って、年齢も国籍もさまざまな方が教室に通ってくれています。
日本国中からお客様がお越しくださることに10年前は喜んでいましたが、現在は世界中からお客様が来てくださいます。
20年前にそんな未来は見えていませんでした。
現在夢に向かって進んでいる人達、未来の夢は人に馬鹿にされるくらい、止められるくらいがちょうど良いです。
頑張るモチベーションにもなります。
現代は、人にちょっと言われると
「傷ついた。。。
」となってしまうように思いますが、傷にするにはもったい無い!
傷ではなく「やる気」、「見返す原動力」に変換することもきっと可能ですよ。
夢を諦めたら、そこでTHE END。
だけど、死ぬ物狂いで夢を追いかけたら、きっと誰も見たことがない未来が待っていると思います。
現実に私は何人もの夢追い人達が工房を開いたり、お店を出したり、海外で職人として活躍している人を何人も見てきました。
まずは夢を描きましょう。
そして「無理だ」なんて言葉は、他人に言ってもらう言葉であって、自分で言う言葉でも、思う言葉でもありません。
自分だけは自分を信じてあげて、思う存分追いかけてみてください。
未来は自分の決断次第でいかようにも変化させられます。
I君が証明してくれましたね。
これからはI君の成長が見られる楽しみが出来ました。
弟子は卒業です。これからは、後輩だね。![]()
久しぶりに祝い酒を飲みました。良い酒じゃ。

