英国ビスポーク靴の製法  | ”Bench work study" Hand sewn welted製法の靴作り教室

英国ビスポーク靴の製法 

授業中に生徒さんの質問で面白いのがあると、ホワイトボードを使って説明していますが

 

本日も製法についての話になったので、生徒の皆さん作りたい製法あったら

何でも作ってみましょうねキラキラ

 

 

靴作りの底付けの製法には各種あり、

 

英国ビスポークでは

 

OXFORDデザインには 

Bevelled waist(べヴェルド ウェイスト)製法

 

 



 

DERBYデザインには 

Square waist (スクウェア ウェイスト)製法

 




と言うのが基本にあります。(プロコースの生徒さんには必須の製法!)

 

 

 

その他、特別なシーンに合わせた靴の製法があります。

 

今回は何の目的でどのような製法があるのかを書いてみますね。

 

この間、プロコースの生徒さんがチャレンジしていましたが

 

 

”PUMP製法”

 

”オペラパンプス”は最高にエレガントに作りたいので、華奢で軽くする為に

ウェルト無しでソールの裏から縫い目が見えないようにこの”PUMP製法”で作ります。

 

 

 

 

”Blind welt製法”

 

ドレスコードが高く、社交ダンスも行うパーティーなどには

エナメルや薄めの黒い革のプレーンなOXFORD スタイルを着用します。

 

この製法はウェルトが見えないように隠して縫っているので、耐久性はありつつ

とても華奢にエレガントに見える製法です。

”Dress製法”とも言います。


この製法に似た名前で、生徒さんが時々やりたがるのに

 

”Blind Stitch Welt"製法

 

Channel welt製法とも言いますが、こちらは出し縫いのステッチが見えないように縫う方法でソールの蓋を開けるのと同じように、ウェルトにも蓋を開けてから出し縫いをします。

 

生徒さん達はやる前に「難しそう。。。」とドキドキしていますが、実際やってみるとサクサク縫えて楽しいですよね。

「思ってたより簡単キラキラ」とこの間もZOOMの生徒さんが言ってましたね。

 

 

”Blind Stitch Welt"を行う理由に、細かい目のファッジホイールをかけたい場合、たとえばピッチ16などで縫うと

糸は細いのを使用せねばならず、糸の耐久性が劣ります。

ステッチとは穴を開けて糸を入れることですので、細かいピッチだと穴が多くウェルトの耐久性が悪くなります。

 

そこで、ウェルトに蓋を開けて大きめのステッチで出し縫いをした後、ウェルトの蓋を閉めてから、

好きなピッチのファッジホイールを飾りで入れると言う、

見た目良し、耐久性良し、縫うのも楽音譜 という利点が多い縫い方になります。

 

 

次に、最近ハマっている生徒さんがいる

Storm welt製法

 

こちらの製法は、ワークブーツやガンガン履くカジュアル靴の際に使用する製法ですので

あまり、ビスポーク靴っぽくはない製法ですがブーツにはもってこいの製法です。

 

盛り上がった形のウェルトを付けることによって、埃除け木型の輪郭を縁取るように縫い上げていくので

普通にSquare weltで作るよりも、仕上がりが一回り大きく見えますので、

ゴツい靴が好きな方にはおススメです。

 

 

 

生徒さんのストームウェルト↓

 

 

その他、

Norwegian welt製法、Norwegian storm welt製法と言うのもありますが

ウェルトの通常の出し縫いの横にも縫い目があって、とてもデコラティブなスタイルです。

Norwegian stormはStorm Weltを使用した方法です。

 

イギリスで働いていた時は5年に1足オーダーがあるかないか。。。。ってくらい、

英国的でも紳士スタイルでもないのですが、とにかくゴツく作りたいって人向きなとても手の込んだ製法です。

 

 

 

英国紳士的な靴って何?と思われるでしょうが

 

それは『サビルロウのスーツに似合う靴』です。

 

英国紳士靴の歴史はサビルロウのスーツの歴史と共に歩んできました。

靴の値段も、スーツの値段とほぼ一緒に設定されています。

 

 

話が脱線しましたが他に、

 

Seat welt製法(Double weltとも言う)

 

こちらは、Square Weltと同じ縫い方ではありますが、かかと部分も含め一周Weltを縫う方法です。

Seat weltくらいのゴツさが、英国紳士が休日に履くブーツには合うかと思います。

 

 

用途によって、ライフスタイルによって、細やかなことが行われているんですよね。

 

また細かいことはお教室で。