
靴工具 ラスプ編
きやすりの事を英語で RASP ラスプ と言います。
日本製のラスプはとてもシャープで海外の職人からも人気です。私もイギリスの先輩達に頼まれ何十本送ったことか。。。。
イギリス製のラスプはこんな感じ↓で、ちょっと荒目です。
国産は目が細かくて良く削れます。私は鍛冶屋さんに幅30mmにオーダーしたものを使用しています。
1番右 ↓
英国ビスポーク紳士靴のヒールの高さは25mm~30mmですので、ラスプの幅が30mmあるとヒールを一気に削れます。
15年ほど前に購入しましたが、未だ驚くほどシャープ。素晴らし過ぎてもう一本買っておけばよかった。。。と悔やまれます。もう作って頂いた職人さんは引退されてしまったので
残念です。価格が既成のラスプの8倍ほどしましたので、躊躇してしまった。。。。ダメね〜。
ラスプの粒々は鋭い三角の突起が小さな小さなナイフのように削ってくれます。鈍くなったら、職人さんに”めおこし”をしていただけるのですが、現在めおこしをしていただける職人さんは日本にいらっしゃるのか不明です。使い捨てにするには勿体無いし、どなたか知っていたら教えて頂きたいです。
さて、上記のラスプは底付け専用です。
底付け用のラスプは自分の人差し指を柄のようにして握ります。手と一体化して使用する工具です。
平面を削るときは手首を硬く固定し、曲面を削る時には手首を捻りながらスナップさせることでコントロールします。
ラスプの面には軽く山のついた曲面のものと、平面のものとがあります。
曲面はヒールの積み上げの際に、ヒールの底面を中央だけ凹ませる作業の際に使います。またヒールの脇にカーブをつけたい時にも使えます。
平面はヒールの側面、ウェルトの側面を整えるのに使用します。
ハンドソーン・ウェルテッド製法の靴作りの場合、ソールの側面、ヒールの側面をめちゃくちゃ磨きます。
まずはラスプで整え、ガラスの破片でさらに削り、3種類のサンドペーパーで水をつけながら磨き上げます。
革の繊維質をこれでもか!っと磨き潰すことによって、ガラスのようにツルツルになります。あまりにツルツルなので、革ではなく木だと思われる方も多いですが、ここまでヒールを磨き上げると革の面が詰まり雨水を通さず耐久性も増します。
見た目と機能性を兼ね備えているんですよね。素晴らしいですね〜先人の知恵。
またこの手間暇が機械では出せない独特の輝きを放ち人々を魅了します。
ヒール磨きは無心になれるので、生徒さんの中には瞑想状態になってやり過ぎてしまう方が時々おりますが、なかなか綺麗に納得できるようになるまでには時間がかかる作業です。
ちなみに木型を削る際には、もう少し荒目の柄のついたものを使用します。
木型用ヤスリ↓ 木型用というか木工用です。プラスチックも楽々削れます。
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