靴工具 ワニ編 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

靴工具 ワニ編

 工房の内装工事も無事に終わり、新しいサッシになり隙間風がなくなりました。

 

 網戸もついたので窓を全開に開けても小鳥が出ていっちゃう心配がなくなり、気分も換気もバッチリですチョキ

 



 クロージング・スペースも木型倉庫も倍位に広くなり、使い勝手も良くなり感無量。

 

 仕事頑張るぞ!筋肉とやる気も上がります。

 

 

 さて、靴の工具のお話。

 

 

 新米生徒さんには必ず持っていて欲しいナイフやオール類は初日にお渡ししていますが、その他の工具はお教室の共有のをお使いいただくか、購入頂いています。

 

 

 工具は高価なので、少しづつ揃えていくと良いかと思いますが、初心者の生徒さんからよく「何から揃えていったらいいですか?」と聞かれますが、迷わず「ワニからでしょ」っとお伝えしています。

 

 



 

 ワニって靴作りのみで使われる工具で、これがないと木型に革をぴーんと張らせることができません。

 

 

 英語でLASTING PINCER ラスティング・ピンサーと言います。 釣り込みのことをラスティングと言います。

 

 

 ワニにも色々種類があって、セメンテッド製法や薄い革のレディースの場合以下のようなワニを使用します。

 

 

 1番右がセメンテット製法用。釘打ち面がツルツルしてます。


 


 

 

 ハンドソーン・ウェルテッド製法などのしっかりとした厚手の革を使用し、釘を打ち込むことが多い製法の場合は↑の写真の左の3本のように溝が入っています。

 

 

 釘を沢山打ち込むので、釘打ち面がこのように滑らず打ち込めるような使用になっていて、釘が簡単に打ち込めるようにかなりの重さがあります。

 

 

 あ、良いワニの見分けかたは「重さ」でもあります。

 

 

 重いワニだと、11ミリのタックスは一発で入るし、25ミリの釘でも2〜3回叩けば半分の長さが打ち込めます。

 

 それから、釣り込む際に思いっきり革が引けるように、つかみ部分が広いものが必須。



 革を挟む所の幅も色々ありますよね。




 

 特にビスポーク靴の場合は土踏まずをお客様の足に合わせて作った木型を使用するので、土踏まず部の釣り込みが大変なことがしばしば。。。


 この場合、しっかりを革をつかみ、全体重を右肩にかけるようにして釣り込みします。そんな釣り込みをするのに、幅の広さが必要になってきます。

 

 

 踵部やつま先の釣り込みには幅の狭いのが使いやすいので、こちらを使用します。こちらは小さいながらも重さがあり、好きなワニです。




 

 

 残念なことに近年の工具は金属の純度がどんどん低下し、昔ほどの重さが無くなってきました。釘もそうね。

 

 

 これは今後も続くと思うので、ワニは早めに重い物を購入しておくのがお勧めです。

 ここ5年でも重さは変わって来ているので悲しい

 

 

 生徒さん達は中古の工具も物色していて、よく「これどう思います?買いかな?」と相談されます。

 

 

 「あ〜これは使えないよ〜」というものもあれば、「いいじゃんグッド!すぐ買いだよ!!ポチッしな!」というものもありますので、地道に探し続けるのもいいですね。

 

 

 掘り出し物があった時は運命感じますよね。

 

 

 

 私はロンドンにいる時に、当時の住んでいたエンジェル界隈にあった古道具屋さんに靴職人だというと「これ靴用だって聞いてたけどわかる?」と奥から木箱を持ってきて開けてみたら、靴用工具が沢山入っていてキラキラ「全部買う!!!ボーナス出るまで待ってて」爆  笑とか、カムデンマーケット内の工具屋さんに「こういう工具が出たら教えてください」と工具類の写真を渡したら「あ〜似たようなのその辺に。。。。」と奥の方から木箱に入ったの出してくれてまたゲットチョキ と、ラッキーなことも多々ありつつ、工具を探しにほぼ毎週5〜6年蚤の市を回っていた時代があったり、先輩職人が引退する時に彼が使っていた工具を一式譲り受けたりしてかなりの量を持っています。

 


 100年以上前に作られた工具達…





 

 気に入って使用するものは大体決まってきていますが、使って試して、工具の形の意味がわかるまでに数年を要した物もあります。


 上記のようにまとめて靴工具を購入した際、必ず「なんだこれ?」って工具が数種類入っていて、先輩職人に見せて教えて貰ったり、誰も分からないものがあったり、あきらかにその職人のお手製の工具であったり、先人達の知恵と工夫も垣間見れます。

 

 

 今でも、あーこの工具ここにも使えるんだ〜と発見することもあったり、取り扱い説明書が無い分、靴工具の一つ一つがまだまだ未知の可能性を秘めています。

 

 私自身も自分で工具を作ることもあり、生徒さん達に「これがあるとここの部分使いやすいよ〜」と伝えたりもしますが、工具は先人の知恵と工夫の塊なので、受け継ぐ者として自分の手から先人の知恵を自分の中にしっかりとダウンロードしていきたいですよね。