ブラインド・ステッチ製法 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

ブラインド・ステッチ製法

 もう5月も終わりですね。早い!色々と今後のお仕事の仕込みもしつつ慌ただしい日々ですが、よく寝てよく食べて健康的な毎日を送れています。

 

 夏頃からリモートのみで参加可能な生徒さんの募集を始めます。工房にお越し頂かなくてもどなたでも参加できるように準備中です。ご興味ある方は準備が出来次第ご報告致します。ご質問などございましたら随時受け付けておりますので、どうぞご一報下さいませ。こちらまで→ bespokeshoes@benchmade.jp

 

 

 

 

 前回のブログで紹介した生徒のKさんが作製中のブラインド・ステッチについて、他のクラスでも興味津々の方々がおりましたので、説明しますね。

 

 ハンドソーン・ウェルテッド製法の特徴は、インソールとアッパーをウェルトを一緒に縫うことで一体化させ、その後ウェルトとソールを縫い合わせるので、消耗品であるソールを何度取り替えても、インソールとアッパーは緩むこともなく元の形状を保ったままソールの取り替えが可能になり、何十年も修理をしながら履き続けることができるということです。他にも沢山の利点はありますが、今回は表題の説明をしたいので泣く泣く割愛。。。

 

 

 で、その修理を何度でも修理可能にする役割を担う”ウェルト”は縫い方の違いも色々ありますが、英国ビスポークでは”スクウェア・ウェイスト”と”べヴェルド・ウェイスト” がジェントルマン・シューズのウェルト付けの製法です。他にノウィージョン・ウェルト製法やストーム・ウェルトなどありますが、あれは元々登山靴やワークブーツ用の製法なので、ジェントルマンシューズではございませんし、英国ビスポークのお客様でご注文される方は年に1人か2人程度。なので、番外編って感じの製法なのでここでは割愛。

 

 で、”スクウェア・ウェイスト”と”べヴェルド・ウェイスト”ですが、基本的なルールはダービーには”スクウェア・ウェイスト”、オックスフォードには”べヴェルド・ウェイスト”。これが基本中の基本。ナポリタンにはケチャプ、焼きそばにはソース位に基本です。

 




 

 

 

  ダービーはジェントルマンシューズの中でのカジュアル靴でゴツくボリュームを持たせたいので、ウェルトがヒール直前まで出っ張ったままであることによって、ごつい重厚感が出せます。

 

 

 


 

 

 

 反対にオックスフォードはフォーマルシューズですので、可能な限りエレガントにスマートに作りたいので、ウェスト部分の張りを消すように縫うことによりスマートでエレガントな仕上がりになります。

 



 

 

 ここまではお教室で度々説明しているので、耳にタコかもしれませんが。。。。

 

 

 

 

 製法の他に考えなくてはならないのが縫い目のピッチ(出し縫いの幅)。ダービーはカジュアルなので縫い目は荒めで仕上げるとごつい感じが出せ、オックスフォードは細かい目で縫うと華奢なエレガントさが出せます。

 

 

 そのピッチはファッジホイールの番手によって変えることが出来るので、生徒さん達は「最初に何番のファッジホイールを購入すれば良いですか?」と悩みますよね。初めはカジュアル用に#8位が妥当かなと思います。

 

 

 私は底付けを習い始めた時、師匠に「#8#9#10#12を買って、#8から始めな」と言われました。「師匠が一番使うのは?」と聞いたら「#9と#11」と教えてくれて、なぜか「これあげる」と#14と#16を頂きました。

 

 #16のピッチを見た時はあまりの細かさにギョッとして、苦行が始まるのか!?と思い「こんな細かいの縫うの?」と聞いたら、そんな細かい目で縫ったら、ウェルトに穴が空き過ぎて耐久性が失われるから、細かいときにはBLIND STITCHで縫うんだよ。と教えてくれました。

 

 

 

 最初に説明したように、ハンドソーン・ウェルテッド製法は「何度でも修理可能な製法」です。ですから何度でも、ウェルトとソールを縫い合わせている糸を外し、ウェルトにすでに空いている同じ穴に再度糸を通します。ウェルトに細かいピッチで沢山の穴を開けると、穴と穴が繋がって千切れてしまう可能性もあります。ウェルトは大切にしたいものです。でも、可能な限りエレガントに細かいピッチで作りたい。。。。

 

 そんな要望を叶えるために生まれたのがブラインド・ステッチです。いよいよ表題のブラインド・ステッチです。

 

 

 やり方は、ソールの蓋を開けるのと同様にウェルトにも蓋を開けます。蓋を開けたらザクザク大きめのピッチでソールと縫い合わせ、縫い終わったらウェルトの蓋とソールの蓋を閉じて、ウェルトに細かい目のファッジホイールで目付けします。これで、#16ピッチのファッジホイールが親しみやすい友人になりますね。

 

 

 生徒さん達はソールの蓋開けだけでも恐怖なのに、細いウェルトにも蓋開けなんて!と凍りつくかと思いますが、大丈夫大丈夫。ちゃんとやり方ありますから。ちゃんと出来るように教えますから。Don't worry真顔

 

 蓋さえ開けれればピッチは5mm間隔程で良いので、縫うのは結構楽です。

 

 先週、イタリアとドイツとイギリスに工具の発注入れましたので、6月中には新しい工具がジャンジャン届くと思います。少しづつ工具も揃えつつ、少しづつ難しそうなことにチャレンジして腕を上げていきましょうね。

 

 あ、それから#12以上の細かいピッチを普通に縫う際の糸の作り方は6月のプチ講座でやろうと思います。最近ベストな方法を思いついたので、やってみましょう。

 

 ついでにワックスボール作りたい生徒さんはお申し出くださいませ。”マイボール作り”やりましょう。体に悪い物質を使わない新しいレシピを作ったので、悪臭なく作れますよ。

 

 

 生徒さん達のレベルがどんどん上がるので、私も倍速で上げていかないとね。職人として良い環境にいるな~とつくづく思います。大変だけど。。。。どんどん上がっていきましょう。