3月11日 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

3月11日

 本日のお教室も無事終了。

 

 面白い形のFACING(フェーシング/アイレット部)デザインの生徒さんが、本日は糸閉め作業。





 

 ビスポーク靴では木型から足にぴったりに作るので、このFACING部分がつり込みの際に開いてしまうとフィッティングが変わってしまうので、しっかり糸で縫い付けて、つり込みでどんなに力を入れても開かないようにします。

 

 糸で縫うので穴がアイレットの横に空きますが、穴の上に靴ひもがまたぐ場所ですので、靴を履く際には穴は見えません。

 

 

 時々お客様が『この穴は何ですか?』と質問されますが、これはビスポーク靴の証でもあります。1mm単位も大切に作り上げた木型を0.1mmもずれる事無く作り上げる為のステッチ穴。

 

 もし、この工程の際に、アイレットにヒモを入れてつり込むと、アイレットの穴も楕円形になりやすい(穴が伸びて数値がずれる)ですし、ヒモは緩みやすいので内と外のFACINGの間に隙間が空いてしまいます。HI-LOW BOOTS等の元々FACINGの開きがあるものはヒモでいいのだけれど、、、

 

 

 それから、この糸閉め作業の際に使うRACING PONY 。こちらはたぶん100年以上前に作られたもの。

 




 

 20年前に70歳位だった先輩職人のDave(デーブ)から頂いたのですが、彼はお父様から受け継いだとのこと。デーブは10年くらい前に亡くなりましたが、私が日本に帰る際に『日本でも靴作るんだろうな?やめるなよ。』と色々と古い工具を餞別に下さって、有り難くて今思い出しても感動でじ〜んとします。私がカレッジの学生でアルバイトとして入った時から何かと面倒を見てくれて優しく職人の昔話も沢山教えてくれました。このRACHING PONYは見るたびに暖かくなるエピソード付きの宝物工具の一つです。

 



 

 さて、本日は3月11日。


 

 9年前のこの日にお教室入って初めての授業を受けていた生徒さんが、今日もお教室に参加していて、しみじみ。。。。


 

 ランチタイムに地震が来て、工房内はシューツリーの箱がいくつか落ちたくらいだったのですが、電柱がめちゃくちゃ揺れてて驚きました。電車が止まり、午前のクラスが終わって帰宅したはずの生徒さんが行き場を無くして戻って来たり、午後に来るはずの生徒さんが途中の駅から途中で下ろされて数時間かけて辿り着いたり、電車の中で数時間過していたり。。。



 

 でも、そんな事はその後に起こった事に比べたら何でもなくて。。。9年前のこの日までは幸せだったな〜と。今でも思います。あの日が無かったら。。。福島から通っていた生徒さんの事を今でも時々『元気になっているといいな』と思い出します。

あの日が無かったら。。。。日本はもう少し希望の持てる国だったのじゃないか?あの日が無かったら。。。。と。

 



 オリンピックが東京で!となった時も、東北の復興が先でしょ!お祭り騒ぎより、出来る限り元に戻そうよ!ってなんでこの国はならないんだろうと不思議。



 

 外国にばらまくお金があったら、戦闘機買うお金があったら。。。。悲しいけれど命は戻らない、でも、被災した方々を出来る限り不自由のないように、元の生活に近づけるようにしてあげる事は可能なのじゃないか?もし、自分の家が流されちゃったら、自分が産まれた土地が立ち入り区域になってしまったら。。。。

考えるだけで、胸が詰まります。何年も何十年も何百年もかけて作り上げた田畑や、牧場や菜園や工場や家や地域。




 

 たった1日で、目の前の平和な世界が壊れていくのを目の当たりにしてしまった方々に、何故、政府は最善を尽くしてあげれないのか?

 




 『復興出来た』お偉いさん(偉そうに見える偉くはない人)が言ってたけれど、頭いかれているよ。除染はどうなった?核廃棄物はとうとう置く場所が無くなって、海に流すみたいだしね。世界中がプルトニウムまみれになるよ。

 



 3月11日は毎年この曲を聞いている。 FRYING DUTCH の HUMAN ERROR 

                     https://www.youtube.com/watch?v=Q5p283KZGa8

 

  ばかやろう!と叫ぼう