単糸から糸を撚る(よる)
今週のプチ講座は、ハンドステッチ用の糸の作り方。
生徒さん全員がスルスルと綺麗な糸が作れるように、糸作り強化WEEK! とします。
今日のクラスでも、私がデモンストレーションを行った後に、同じように行ってもらったのですが、みなさん力を入れ過ぎ。
一番力のいらない工程ですので、この機会に皆さん習得しましょう。
糸は『単糸』と呼ばれる、麻糸(RAMIE THREAD)を数本束ねて、糸先を全部違う長さに切った後、特製ワックスをつけ、ねじって撚り、布で余分なワックスを取り除きながら、スムーズな糸に作り上げます。
作った糸は、ウェルトを縫い付ける『すくい縫い(WELT STITCHING)』や、ソールを縫い付ける『出し縫い(SOLE STITCHING)』に使用します。かなりの力を入れて、しっかりと縫い付けないといけないので、出来るだけ頑丈な糸を作ります。
最初から数本麻糸を束ねて売っている物もありますが、あれ、単糸に慣れていると使いづらいです。自分で糸の太さのコントロールも、単糸はし易い。束ねるくらい自分でやりましょうよね。
お教室の生徒さん達にはよく言っておりますが、『省略はいつでも出来るけど、省略しないやり方を知っている人は減る一方』ですので、原始的なやり方で『糸』も『針』も『ワックス』作りも覚えていきましょうね。
『省略しないやり方』の手抜き無しで糸を作ってみると、どんな糸だと切れにくいのか、どんな糸先だと針に巻き付き易いのか、どのくらいの撚りだと丈夫で綺麗に縫えるのか?等々、考えながら糸作り出来るので、基礎が全部身に付く。身に付いたら、コストや時間のどこに重点を置くかで、いくらでも省略は出来ます。でも、省略したものしか知らなかったら、そこから省略しない物を導くのは、かなり難しいですよね。
そんな感じで、当教室では全て『古い伝統的』な靴の作り方で行っているので、大変だけれど身に付く事は多いと思います。
別に、『古いやり方』を提唱している訳ではありません。『古い伝統的』な作り方には、省略無しの全ての靴作りの『意味』が入っているので、是非知って頂きたいなと思っているだけで、お教室を離れて自分で作るときは自分の考えで、素材選び工程の省略等、自分のブランドに合う靴を作っていけば良いと思います。
素材だって技術だって、どんどん進化しているし、古い物より断然良いものも多いし。ただ、比べる物が無いと何がどう良いのか分かりませんよね。やたら古い革屋のブランド名に流されて『○○の革で今作っているんですよ』と若い職人に笑顔で言われちゃうことあるんだけれど、ブランド名でなく『素材を見る目』を養わないと。『あんな固くて厚さの不均等な革、この現代で使うのかい?今はもっとフレキシブルで繊維質の細かい良い革作ってるタンナーあるのに。。。』とかあります。昔は昔、今は今。常に変化しているから、ね。大事なのは『軸』になる物を身につける事。そうしたら、それより何が良くて悪いのか?が分かる。それが経験値だし、知識になるものね。
時間はかかるけれど、常に進化、より良い変化が出来るように『基礎』をしっかりと身につけて『今の自分の軸』を身につけよう。一段飛ばしで進んで行けないのよね。基礎無しに応用は出来ない。基礎固め、頑張っていこう!