何度もの仮縫靴 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

何度もの仮縫靴

ここ数年、仮縫回数は1回で済み本番靴にGO! という流れでほとんどの靴を仕上げておりましたが、久しぶりに何度も仮縫を重ねているお客様と本日4度目の仮縫でした。今迄で一番仮縫回数が多く、何度もお越し頂いて申し訳無い気持ちでいっぱいなのですが、お客様も本当に色々な靴を試されて、ご説明の為に持参される靴もそうそうたるブランドの高級靴なのですが、どれも血が出る程で、ご自分で試行錯誤しながら中敷き入れたり、スポンジ入れたり、靴下の中にフェルト入れたり。。。。と本当に涙ぐましい努力をされていて、本当、なんとかしたいです。私の気合いと経験の数々を全部結集して仮縫靴作りに打ち込んでいるのですが、進歩がとっても少しづつ。。。本当に足って人それぞれなんですが、今回の足は多くの事を教えてくれていて、何だろう?この出会い。。。この靴を完成出来たら色んな面で成長出来る!と思います。あまりに難しい足ってなかなか出会えない。。。って長く仕事をしていると思えて来てた。ところが、今回の足は自分の経験値も知識もまだまだ。。。と思い知らされています。これって凹みもしますが、それ以上になんか心の奥の方から嬉しい気持ちが沸き上がってきて、仕事に向かうのが今迄以上に楽しい。

 

 お客様の言われている一言一言を逃さないように、足の動きを見逃さないように、真摯に受け止めて今迄と違うアプローチとアイデアを木型に入れ込んで、小さな脳みそを回転させております。

 

お客様にご足労願うたびに恐縮してしまいますが、諦めずに一緒に作り上げている感もあり、本当に有り難いです。

 

この間、生徒さんが靴職人が主人公の『IPPO』(一歩)という漫画を貸してくれて読みました。なかなか面白かったです。読んだ生徒さん達は『あんなに簡単に、数年学んだだけで凄い靴を作れるなんて!しかもお店もおじいさんから受け継いで、20代前半でハンサムで、、、、感情移入できません!』って言ってましたが、なんかね、あんなに簡単にはビスポーク靴は作れないけれど、なんか根っこの部分はよく表現されていたな〜。と思います。

 

この漫画でも、一足一足のお客様との出会いがあり、『本当、そうだよな〜』と共感できることも多かったです。私は『靴』を作るのが仕事だけれど、何の為に靴を作っているのか?何故ビスポーク靴なのか?と考えるとき、その根底には『出会いがあるから』ってのがドンとあります。色んな足との出会いが無ければ、簡単だけれどつまらない。私は自分でガンガン新しい事を考えて、新しい市場を開拓したり、新しい履物を生み出すとかそういうタイプではないので、じっと工房で地味に靴を作っています。でも、毎日が刺激的で勉強や研究する事が絶えずあるのは、『出会い』があるからです。

 

久しぶりにね、謙虚な気持ちで初心に戻れた気がします。1足1足にどれだけ自分の持っている知識と技術とアイデアを入れ籠めるか、お客様がオーダーされた想い以上に、私の想いは深くなければ。。と思いました。自分の不甲斐なさに落ち込んでいる時間等はない。頑張るのみ!今回の足は拝みたくなる程、色々教えてくれています。感謝の気持ちは最高の1足に仕上げる事。やるぞ〜!!!!