つり込みPART1 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

つり込みPART1

9月28日(日)11:00~18:00 benchwork study の展示会&Open Day を開催いたします。(詳細は過去ブログをご参照くださいませ)

どなたでも、お気軽にお越しくださいませ。一日楽しめる内容になっておりますので、ふらっと遊びにくる感覚で、磨きたい靴や直したい靴をお持ち下さっても、手ぶらでもOKです!!皆様のお越しを心よりお待ちしております。


さて、今週、来週は展示会へ向けての準備と、時間と格闘している生徒さんがいるのとで、プチ講座はお休みですが、こちらのブログの方が滞っておりますので、前回のプチ講座の『つり込み』をちょいと。


木型、アッパー、芯材が揃ったら、いよいよ木型にアッパーをかぶせて立体化させる作業に入ります。

まず、踵の芯になるSTIFFNER を水に浸して柔らかくし、アッパーの表革と裏革の間に入れます。入れる際、土踏まずのある内側を外側より若干長くなるように入れます。これは、土踏まずをしっかり支える為です。まず、STIFFNERのスカイビングしていない面と、表革のトコ面にホワイトペーストを塗ります。ホワイトペーストは水溶性ですので、つり込みのスピードに自信のない人は、ブラシに水を含ませてホワイトペーストを使用すると、のりがゆるくなって、乾燥するまでの時間が長くなります。また、つり込み中にペーストが乾いてきてしまったら、水を付けると再び柔らかくなりますが、つり込みはさっさと仕上げるのがベストです。

上記の両方にホワイトペーストを塗ったら、塗った面同士を合わせて貼ります。貼ったら、STIFFNERのスカイビングした面にもペーストを塗ります。こうすると手が汚れないで貼り合わせられます。で、その後、サイドライニングののりしろの部分のみにペーストを塗って、STIFFNERののりしろ分に貼り合わせます。

それから、アッパーの裏革をしわが寄らないように貼り合わせ、木型に被せます。木型の踵部上部とアッパーの踵部上部を合わせて、踵の中心線を合わせるように設定し、お腹等で固定し、両手でアッパーのつま先部を持ち、前方の中心を合わせ、つま先のアッパーをワニで思いっきり引っ張り、25mmの釘でとめます。その後、中心がずれていないか確かめて、一本目の釘の両端に革を引っ張らずに釘を打ちます。こうすることによって、その後つり込みをしていく中で、中心がずれることを防ぎます。

ここまで書いて思うこと。。。。こんなの読んで理解できる人いるのかな?生徒さんたちはデモンストレーション見てるし、自分でもやってるから、わかるよね???

ちょっとね、画像を撮って見せないとほんと、難しいですね。やります!只今、考案中。

めげずに続けます。

木型の底のつま先部に3本釘を打ち込んだら、親指の付け根の一番出っ張った所をワニでつり込みます。この時、裏革のみを引っ張り、その後、表革のみを引っ張ります。決してその間にあるサイドライニングは引っ張らないこと。表革と裏革は伸び率が違うので、必ず別々に。

この時、ワニを握っていない左手で、アッパーの甲が木型の甲に吸いついているか確認しながら引っ張るのが重要です。左手で革が流れる方向に革を流してあげる。こうすると、革がどちらに伸びたいのか、どのくらいの力で伸ばしてもらいたいのかがわかります。つり込みはね、革の気持ちにならないといけません。革の伸びって、革それぞれ違うから、左手の感触で気持ちをくんであげて、手助けが必要だったら、革が行きたい方向に手伝ってあげなきゃ。これが出来ると、つり込ってぱっぱっ!と出来ちゃいます。

で、前方のアッパーが木型に吸いつくようにつり込みが出来たら、踵の裏側だけ引っ張って木型のバックハイ(実際の靴になるときの踵のトップライン)まで下ろします。

工場や日本ではこの位置からつり込み始めるんだけれど、これだと引きと吸いつきが弱いです。手の力でつり込みした後に、踵の位置を下ろすことによって、さらに革が木型にパーンと張りつきますので、凄く重要なポイント。日本の靴作りと英国の靴作りの一番の違いでもあるかしらね。

アッパーをバックハイまで下ろせたら、アッパーのドックテールの下、縫い割の一番上の部分に25mmの釘を半分の長さまで打ち込み、上方に釘の頭を倒します。こうすることで、踵部をギューとつり込みしても位置がズレず、アッパーに釘の穴が残ることもないです。既製品の靴は何で踵脇にわざわざ釘を打ち込むんでしょうね?あの穴は、靴の値札を通す為!!とデパートの靴売り場の店員さんが言ってましたが、そんなのは後付けの言い訳だろうけれど、本当だったらそんなことの為に穴あけるなよ!って思いますし、ちょっと工夫すればいいのにね~とずーと思ってます。

その後は、16mmの釘で踵部をつり込みします。木型の踵部に鉄板が付いていない時は他の部分と同じように25mmを使います。で、踵部がつり込みできたら、ウエスト部分のつり込み。

踵とウェスト部のつり込みが出来たら、踵部の釘を一本一本抜きながら、代わりに11mmの釘(タックス)を打ち込みます。イギリスではブラッツという、三角錐の形の釘を打っていましたが、10数年前からイギリスでも入手出来なくなりました。ま、11mmのタックスで問題ないです。これは釘〆でタックスの頭を打ち込みます。タックスもブラッツも鉄で出来ているので、履いているうちに錆びてきて、さらに抜きにくくなるので、木で出来たペースを使うより良いかと思います。ペースを使っている職人さんに聞いた話だと、木でできているので、打ち込んだ後に水を付けて膨張させるとギューと穴いっぱいにきつく入ります!って言ってましたが、靴が仕上がることには乾燥して縮むだろうに。。。。と思いましたが。。。。ま、それぞれの職人の考えで材料は選択するものなので、ね。

これで、踵とウェストのつり込みは完了。このデモンストレーションを生徒の前で15分から20分位でやって見せたら、久々に尊敬のまなざしを頂きましたが(笑)、芯材が濡れている間に仕上げないと形も形成しづらいし、木型への吸いつきも悪いので、ここはスピード上げていかないとね。ま、工場だったら機械で数秒でやるんだろうけれど、後々の型崩れの原因はこういうひと手間の省きから出てきますから、どれも手を抜けません。

つり込み中に、アッパーをちょくちょくハンマーで上から下にたたいて、形を整えながらつり込みしていくのも大切だし、革を引けるだけ引っ張るのも大事。全体重を右手にかけて、汗だくになってやる作業。これも、革を良いもの使ってないと出来ないことだから、この製法は、革の知識も非常に必要になってきます。って、クリッキングに話が戻るので割愛させてもらいますが。


心を込めるって、何か念のようなものを入れ込むことじゃなくて、自分の力のすべてを出して何かをするってことだと思うのです。だから、『心を込めてお作りしました』って、手製の商品のパッケージに書いてあったりするとき、安っぽい言葉の響きに変わってゲンナリしちゃうことあります。

『心を込める』って、本当に本当に大変なこと。自分の力の全てを使うって、とっても自分の未熟さが見えるし、全精神、全筋肉、全思考を使うことはヘトヘトになります。だからね、その都度自問自答しながら生きていかなきゃな。。。って思います。革の気持ち、他人の気持ち、自分の想い。。。。全部汲み取る為にもね、強く大きな人になりたいと願っていますが。。。ちょくちょく小さな器の自分が顔を出します。まだまだね、成長していかなきゃ。こちら側の勝手な押しつけでない『心の込め方』を学ばないとな~。誰もがハッピーエンドを迎えられるように、人との繋がりが良い循環を生んで、ハッピーの中で成長して高めあって、、、自分の周りの誰もがそうなると良いと思うし、世界中の人がそうなると良いと思う。何かを省いたり、誰かを省くんでなく、全てを、全ての人を活かせる方法。好きなファッション、好きな音楽、好きな文学があるように、好きな居場所を誰もが見つけられたらいいですね。自分の得意分野に全力を注げる居場所。そしたらね、みんなが『心を込めて』何かを作り上げれるだろうし、良い空間は良い空気しか生まないからね。やっぱりね、何をするにせよ大切なのは『LOVE&PEACE』!だね!