旅行記パート3 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

旅行記パート3

 昨日お客様から『何度電話してもいないから心配したよ~。留守電にもならないし。。。』
と言われ、『?』と思ってたのですが、あ、旅行中は水道も電気も根元から止めていたんだった!と気づきました。電気止めてたから、留守電も使えなかったのですね。本当にご迷惑お掛けしました。

 2週間も仕事を休むと、メールも大量に来ていてお客様からのメールには昨日返信全部出来ましたが、生徒さんからのはお休みの連絡などでしたので、スミマセンが返信しなくていいですよね。。。ごめんなさい。


 さて、旅行記パート3

 前回はマヨルカ島朝まででしたね。その後、ベアトリスの手作り小屋の工房は結構広く、16畳位かな。窓が大きくて日差しがとてもよく入り、その中で日々靴のデザインをしているのですが、あちこちにデザインのネタになる物(古いアンティークの靴や流木や珍しいテキスタイル)や本が転がっていて、書きかけのデザイン画もあちこち散らばっている。彼女はかなりの綺麗好きなのに、工房内は何で散らかっているのか?と思ったら、『散らかっている物を一つ一つ拾いながらアイデアが浮かぶ』のだそうです。散らかり方も決して汚くはなく、考えて散らかしているのか~と新鮮。兎に角、アイデアと創造性は尊敬に値する人なので、色々とデザインについて話していると、靴職人のノーマンも加わり、『シューメーカーとアルチザン』について議論が始まる。ノーマンはバルセロナでビスポークの靴屋をしている。昔は弁護士をしていて、イタリアやフランスで靴作りを学んだ人です。

 彼は『自分の事をアルチザンだと思っている。僕の作る靴はただの靴ではなく、靴の周りに漂う空気や、靴の裏側にある別の側面も見て貰いたい。靴の歴史、現在の経済とビジネスに対する自分の意見や想い。そんな事も僕の靴には入っているんだ!』と力説し、私にユキはシューメーカーかアルチザンか?と聞くので『アルチザンなんて言葉普段使ったことないよ~。誰かが私のことそう呼んだら、噴き出しちゃう!イギリスでは書類に書く職業欄にはいつもシューメーカーって書いてたからシューメーカーなんじゃん。』『いや、そういうことじゃなくて。。。気持ちのうえでさ。』と熱く語るので、ベアが『アルチザンなんて自分の事言う奴は、商業的付加価値を無理にくっつけたいのよ!靴を作ってんだから、どんな靴を作っていようがシューメーカーでしょ!』といい、その後もヤンヤヤンヤと学生時代のような2人の論争が続き、最後は『でもさ、自分の事、クリエーターと呼ぶ職人にろくなのいないよね。本物のクリエーターって神様一人じゃない?』で、話がまとまる(笑)。私はそういう論争に全く興味が持てないので、丸く
収まって良かった(笑)。


 ま、何と呼ぼうが呼ばれようが、私はなんとも思いませんが、なんかね、ノーマンの熱い想いも分かるのです。作っているのは靴だけれど、作り手はそれぞれ色んな想いで日々作っていて、デパートにズラーと陳列されている靴とはやっぱり違う。ビスポークはお客様の顔が見れて、話が聞けて、話を聞いて頂けて、人との関係があっての靴だからね。そりゃー何か漂ちゃいますよね。

 その後、海の見えるレストランで美味しいパエリヤに舌づつみを打ち、エメラルド色の異様にしょっぱい海で泳ぎ、夜には近所の画家夫婦と自然保護団体で働く女性や詩人、服のデザイナーなどバラエティーに富んだベアトリスの友人達と、庭のピザ窯で焼いたチョリソ、ラム肉、自家製パンと取り立て野菜のサラダと大量のワインで星と月明かりと数本のろうそくの光の中で楽しいディナーを頂く。私以外はスペイン人とアルゼンチン人だったので、ラテンのテンションの高さに慄きました。笑いすぎて途中で腹筋がつって、大変でしたが夜中3時まで和やかな夜は続きました。

 
 そんな日が2日続き、マヨルカ島とのお別れは淋しかったけれど、また来ればいいや!とベアトリスと笑ってお別れ。その後、ノーマンと共に彼のお店のあるバルセロナへ飛行機に乗ってGO!

 
 バルセロナにせっかく行くのだから、あちこち美術鑑賞をしよう!と日本からチケットを予約して準備万端でしたが、ノーマンが既に勝手に予定を立てていて、『あの教会へ行け!セント クリスピンが祭られているから、靴職人なら絶対行くべきだ!』とか言われるままに行動する羽目に。

 でも、『実はさ、ステファノ ベーメルが先週亡くなって、、靴職職人仲間で追悼ディナーを今夜するからね!』の言葉には驚き、(まだ48歳ですって!)、じゃあ、私のロブでの大先輩のクリーシアも呼ぼう!となりました。ステファノ ベーメル氏のご冥福を祈ります。


 クリーシアはロブで靴職人歴35年の、私が慕って、尊敬して、憧れている女性で、今はロブの仕事をバルセロナの自宅工房で行っている。長身のスレンダーな体系と笑った時に見えるすきっ歯がジェーン バーキンの様で、兎に角かっこ良い。ロンドン時代は私と同期のフィンランド人女性の靴職人とで、クリーシアが仕事をロブに届けに来る日は、二人ともソワソワし、クリーシアの後を金魚のフンみたいに付いて回っていた。作る靴もカッコいい、ハスキーな声で話すこともカッコいい。巻煙草をクルクルっと手早く巻いて、くゆらす姿もカッコいい!そんなクリーシアと8年振りの再開!!

 ノーマンのお店に現れたクリーシアは昔のままで、やっぱりかっこ良かったし、昔より目じりに深く刻まれたしわが、優しくて幸せそうで、美しかった。『クリーシア姉さん!!会いたかったよ~』と思いっきり甘える。私が人に甘えるなど彼女以外には決してしたことない。クリーシアにだけは出来るのが不思議です。懐のとっても大きな人だからでしょうか?

 他にフランスから来ていた靴職人で、フランスのロブで靴作りを学んだステファン ヒメネス氏(ノーマンの尊敬する師匠)とその奥様のともえさん(日本人!)と、ノーマンのビジネスパートナーカップルとディナーヘ。イラリア語、フランス語、英語、スペイン語、日本語が飛び交いちょっと会話にストレスありましたが、それぞれ違う国のビスポーク靴を囲む環境の違いや、今後のビスポーク靴のゆくへ等話せて楽しかったです。私はクリーシアに悩み相談をしたり、彼女から靴作りのアドバイスを受けたり、、、、嬉しかったな~。


 PIERRE CORTHAY,ANTONY DELOS、DIMITRI GOMEZ等のヨーロッパの職人の間で名前が聞かれる職人たちの事を色々聞けたりして興味深かったです。

 
 それから、ヨーロッパのビスポーク靴屋の現状なのですが、職人不足!です。なかなか、職人が育たない!と嘆いていました。昔より情熱のある人、忍耐のある人が少ない!とか、パソコン以外いじらないから手先が退化している!とか、色々言ってましたが、職人になりたい人もヨーロッパは少ないようで、いくつかのお店では深刻な問題らしいです。で、ノーマンがバルセロナに私を招いた理由は『職人をスペインに送ってくれ!』と伝えたかったのが一番の理由らしいです。

 で、教室の皆さまにご相談です。BWSの生徒さんで、バルセロナで働きたい!って人がいたら、お申し出ください。教室で3足以上作って基礎が出来ている人。英語かスペイン語が出来る人、またはこれから勉強する!って人。ノーマンが待っています。

 バルセロナに行く前に、私が別途トレーニングしますし、ノーマンの所の靴作りは独特で面白いので、基礎以外にも知っておかねばならないこと等、ノーマンと色々と話し合いましたので、スペインのビザの事なども含めて、話を詰めていきたいと思います。やる気のある方募集中!!準備期間は結構掛りますので、1年後位を目指して考えてみて下さい。いきなりバルセロナって!って感じでしょうが、人生一回こっきり。こんなご時世ですし、ちょと冒険してみるのもいいかなっと思います。