ただいま! 旅行記パート1 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

ただいま! 旅行記パート1

 帰国後翌日(昨日)の教室では、スタッフや生徒さん達から『オーラがパワーアップしてる!』とか『動きが機敏になった!』とか言われましたが、そうでしょう、そうでしょう!だって、とっても楽しい夢のようなバケーションだったのだもの!!(笑)

 ロンドンにタンクトップと短パンで到着した私は、ロンドンのあまりの寒さに鳥肌が立ち、すぐに秋服一式買うはめに。。。街ゆく人々はセーターや革ジャン、ダウンを着ている人もいてゲンナリ。猛暑の日本から行って、秋服なんて選んでも物欲湧かなく、ちっとも楽しくない買い物。。。。このバケーションはどうなることやら。。。と思ったのもつかの間、翌日訪ねたジョン ロブでは懐かしい顔ぶれと会い、皆が暖かく迎えてくれてテンション アップ!社長室に顔を出すと、社長はなぜか私の近況を細かく知っていて『日本に疲れたら、いつだって戻ってきて良いんだよ。今日からだってまたここで働いて良いんだよ。』と言って下さり、うう。。。と涙腺緩んだら『今忙しくて、本当に働いてくれないかな?日本に仕事送ってもいいかな?』と、猫の手も借りたいみたいでした。涙引っ込みました(笑)。

 ロブ内の工房を一回りして、皆に挨拶して、皆の愚痴を聞いて。。。相変わらずでホッとしました。『変わらないことが、ロブの良いところなんだよ!』と皆に言って回ったのですが、『ユキだって、働いてた時はぶーぶー言ってたじゃん!』と反撃され、ホントそのとおり!働いていると気づかない事ってあるんですよね。職人の先輩達が『教室で工具沢山必要でしょ!』と引退する職人が出るたびに私の為に工具を貯めておいてくれたらしく、沢山工具を頂きました!!本当に、なんて感謝してよいやら。。。


 夜は職人友達の家に毎日お呼ばれしたり、宿泊したり。。。、靴談議をしたり、近況を報告し合ったり。。。2名程、『子供が大きくなったら、私も靴の教室やりたいんだよね』とか、『もう少ししたら、弟子をとろうかと思って。。。今まで面倒で嫌がってたけれど、ユキの教室がとても楽しそうだって話をマイケルから聞いて、いいな~って。』と言う話が出て、ロンドンで靴教室が開かれる日も近いかな~と、ちょっと嬉しくなりました。お酒がすすむにつれて、若かりし頃のテンションになり、2人でワインを1本半開けたところで、友人がいきなり『ユキにロンドンの夜景を見せてあげる!』と言いだし、車に乗せられる。『日本じゃ、1滴でもお酒飲んだら、誰も運転しないよ!危ないよ~』という言葉は『ここはロンドンだ!』の一言で却下され、夜中のロンドンを車で徘徊。キャーキャー冗談を言い合って大笑いしながら、ビックベンを見上げたり、キングスロードのお店をのぞきながらゆっくり走ったり、ロンドンの街は人込みの昼より、シーンとしてところどころライトアップされた町並みの方が素敵で、歴史を感じられます。ロンドンを離れて8年も経っているのに、今でも何でも話せて、顔を見れば嬉しくなる友人がいてくれることに、夜景を見ながらジーンとしてしまいました。

 今回の旅行の一番の目的は、一応”革の仕入れ”だったのですが、これまた期待していた5倍は実りのあるもので、ロブ時代からお世話になっているノーザンプトンの革屋さんへ行って来ました。そちらの社長さんにお会いするのも8年振りで、『おー元気か!ユキが来るって言うので、良い革選んでおいたよ!見て貰いたいのも沢山あるよ!』と広げてくれる革、広げてくれる革、本当に素晴らしくため息をつきっぱなし。革を丁寧に見定めていたら『おまえ、相変わらず厳しいな。今は革の善し悪しの判断出来る奴は本当に少ないぞ!ロブでトレーニングして本当に良かったな~』と笑ってました。でも、私もそれは思うのです。本当に良い革を使ったことのない人には、どれが最上で、どれが上ものか分かる訳がない。

 革には同じタンナーの同じなめしの革でもランク付けがしてあって、ジョン ロブでは最上級のランクの革しか使わないけれど、その最上級のランク中でもランクは付けられる。最上級の中の最上級、上級、中級、下級と。革って一枚一枚がとても違うから、それが見分けられるようになるには、方法は一つ。最高の革を毎日見続けることのみ。


 毎日毎日ロブで10年あまり最上級の革を見続け、使い続けたから、革の善し悪しが分かるようになったし、そんな10枚20枚良いもの見たからと言って、靴を作る時に出てくる問題や、靴になった時の風合いが分かるものじゃない。ロブ時代の汗と涙と笑いの10年無くて、今の私も仕事もないよな~としみじみ。やっぱり、ロブの社長から頼まれた仕事引き受けようかな~と気持ちが揺らぐ(笑)。

 最高級のコードバン、グレース キッド、ボックス カーフ、ベービーカーフ、ヌバック、ペイタントなどなど、予算を大幅にオーバーしましたが、希望以上の革を購入!!もう、どの革も絶品です。本当なら、私のような日本で小さく営む靴屋には決して売っては貰えぬ革達を、昔のよしみで『お前が一番良いと思う革を持ってけ!その代わり、俺の所の革で作った靴の写真をたまには送ってくれよな!』と社長が大切にしまってある絶品革を出してくれました。感謝感謝の革購入。日本では『良い革はもうない』都市伝説が広まっておりますが、全然全然そんなことはなさそうです。勿論、昔と同じものは手に入らないけれど、それでも現在の最上級の革は、うっとりするほど素晴らしいし、革を広げただけで、この革で作りたい靴のイメージがバーと頭に浮かぶし、もうワクワクして”腕がうずく”ってこういうことか!と体験できました。革屋さんの帰り道、早く日本に帰ってあの革達で靴を作りたい!作りたい!って興奮していました。

 革屋の社長さんとラジオから流れるオリンピック中継を聞きながら、延々と革談議をしてとても充実した時間を持てました。

 革屋さんの後は黒木さんの働く、ロブ パリの工場へ!黒木さんが出迎えてくれて、工場内を案内してくれ、最新のサンプルを見せて貰ったり、現在やっている面白い試みを見せて貰ったり、、やっぱり靴の工場としては群を抜いている。黒木さんの近況も刺激溢れるお話で、今年の年末恒例のBWSでの講義内容で生徒さんも聞けますが、エルメス傘下の職人たちの行っている素晴らしいクラフトマンシップ、エルメス社が職人の能力を最大限に引き出してくれる経営方針等のお話も聞けそうです。羨ましいお話も沢山聞いた所で、ノーザンプトンの絶景が見れるパブに連れて行って頂き、美味しいビールやチョリソをご馳走になり(黒木さんは車を運転するのでノンアルコール!流石紳士!!)、物づくりについて沢山話して、年末講座を約束してノーザンプトンを離れました。

 こんな感じのロンドン滞在。まだまだ色々ありましたが、既に長ーくなってしまったので、次回パート2にて。

 何度もしつこいですが、とても素晴らしい革を手に入れたので(まだ税関で止まっていますが。。。)この機会に、生徒さん達に革講座をしますね。生徒さん達用の革も、かなり良いもの沢山購入し、革屋の社長さんから無料で頂いたものも多数あり!ですので、こうご期待!!