黒木聡講師による講座 &JOHN LOBB 話 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

黒木聡講師による講座 &JOHN LOBB 話

 いよいよ明後日23日にイギリスのノーザンプトンから黒木聡氏をお招きし、デザイン講座&靴の解体ショーを行います。かなり参加人数が多く両講座それぞれ30名近くおりますので、遅刻の無いようにお願い致します。

 デザイン講座 12:00~15:00

        靴のデザインは、単に型紙づくりやライン取りだけではありません。ジョン ロブ(        既成靴)で行っている『英国メンズ クラシック靴のデザインの実際』を、サンプル        靴、写真、モックアップ,革などを通して解説して頂きます。


 靴の解体ショー 14:00~18:00
       
        ジョン ロブ(既成靴)靴にメスを入れ、中身がどうなっているのか探ってみようと        いう試みです。解体した後に使っている部材、そして作り方の意味をハンドメイドの        靴作りとの比較を交えて説明頂きます。


 ジョン ロブはちょっとややこしい会社で、日本に店舗のある『JOHN LOBB』は既成靴です。経営はフランスのエルメス社ですが、工場はイギリスのノーザンプトンにあります。レディーメイドとは『既成』という意味です。(時々、え?レディース?と言う人がいますが。。。)パリのエルメス店の上にある、注文靴屋の『JOHN LOBB』もエルメス社の経営です。

 本家の『JOHN LOBB』は約170年程前からLOBBファミリーによって今も変わらずに、イギリス ロンドンのSt James's street にて(昔は場所は違いましたが)、経営、製造されています。製造方法も、100年以上変わらず、機械化もされていず、使う機械は当教室と同じく、アッパー用のミシンのみです。

 同じ名前を名乗っているのは、一時本家の経営が傾いた時に、エルメス社は靴製造販売に手を出したは良いがうまくは行かず、エルメス社長とロブ社長が友人であったこともあり、ジョンロブ社の名前の一部の権利をエルメスが買う事により、両者の問題を解決したとの事です。ですから、ロンドンのロブとパリのロブは全くの別経営であり、別の靴なのです。よく、フィッティングのロブ ロンドン、デザインのロブ パリと言われておりますが、両方の職人達もそのように思っています。私がロブ ロンドンで働いていた時にロブの150周年記念パーティーが身内で行われて、その時はロブ パリの職人達も集まりましたが、皆ドレスアップしても、職人はロンドンもパリも同じだな~と感じました。(良い意味で 笑)ハンドソーン ウェルテット製法はロンドンの職人がパリに教えに行ったそうですが、やはり細部はちょっと違うようです。

 レディーメイドを立ち上げるにあたって、エルメス社の素晴らしかった事は、フランスの工場でなく伝統あるイギリスのノーザンプトンの工場を買い取った事です。こちらの工場は世界一を誇る工場で(元 エドワード グリーン工場)、しかも機械化を最小限にとどめ、今でも随所に手作業の職人技がちりばめられています。手より機械の方が美しく出来る部分は機械で、手の方が機械より美しく出来る部分は手で。。。と、細部にわたり緻密に計算され、手作りでは難しいとされる、精度の均一化に成功し、美しい既成靴を作り上げています。

 本家のビスポーク店は一人一人のお客様の要望を聞いて、その人のみに合う靴を作り上げる完全注文靴です。ですから、どちらがどうと比較対象にはならないのですが、ロブの名を通して、ビスポークもレディーメイドもそれぞれに最高の靴を作り上げて行こう!という思いは同じです。どちらの現場も自分たちの領域での最高を目指しています。

 そんな訳で経営は全く違うのですが、付き合いが無い訳でもなく、私がロブの社員だった時は、エルメスで売っている物で欲しい物があれば、ロブの社長に言うと割引してもらえる手はずを取って貰えたし(笑)、レディーメイドのデザインでビスポークしたいというお客様がいらした時は、黒木さんに電話して、『あのパターンどうなってるの?』なんてやり取りしたりしていました。

 そんな歴史も踏まえて、ロブ靴を解体、研究してみましょう!ちょっとしたロブ話でした。