サンドペーパーがけ | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

サンドペーパーがけ

雑務に追われる日々からやっと解放され、靴作りのみに追われる日々。靴の事だけ考えていられて、靴作りだけしていられる仕事時間はとても有難い。新しい工房は窓が多くて見晴らしも良く、仕事の区切り区切りにふと外を見て、大きな空が見えるのは気持ちが良いし、ここ2週間は勿体ないくらいに最高な気分で仕事が出来ています。ありがたや。

 生徒さん達はまだ新工房に慣れないようで、ソワソワしている人達もいますが、また旧工房の時のように「自宅にいるより寛げます」(笑)と言われるようになるかな?

 今回の内装はビシッと黒と白に統一して、かなり緊張感あります。「癒しの館」ではなく「大人の隠れ家」または「不良大人の溜まり場」ですかね(笑)。トイレはド派手にして、壁一面に巨大な「ユニオンジャック」を友人に描いてもらったし、ショールームはブルース感漂っているし、私の趣味を全部注入した感じの工房ですので、働いていて気分良くない訳がない!益々靴作りに没頭できそうです。

 そんな訳で、久しぶりに靴作り熱血漢としてテンション高く仕事をしていたら、右手の人差し指に常に出来ている「サンドペーパーだこ」が巨大化してきた。この”たこ”はウェルトの脇の面を綺麗に整える為にサンドペーパーでやする工程時に指も擦れて出来てしまうのですが、擦れ防止に指に革を巻いていても”たこ”が出来る。頭を使わず無心になって行う作業で、しかも結構な時間かかるのですが、こういう単純作業の方が熱中して瞑想状態に入り易く、面がつるつるになった頃には指の皮が分厚くなっています。

 今日はヒールとウェルトにこのサンドペーパーがけをしている生徒さんが多かったですが、兎に角「擦って擦って擦りぬけ!」って感じです。ヒールの革は水を付けながら、コルクの棒に耐水性のサンドペーパーを巻きつけて、積み上げの段差が消え、刷毛で水を付けた時に革の表面がピカピカして来るまで磨き続け、ウェルト脇はサンドペーパーを小さくちぎって、指のカーブを上手く利用して中央が凹んで、ラインがシャープに見えるように磨き続けます。その後のアイロンがしっかり嵌るように面を整えるのは重要です。履き心地には一切関係してこないですが、こういう作業に”作り手の想い”が込められます。せっかく手塩にかけて作るのですもの、素材の革の良さを最大限に出したいですよね。

 サンドペーパーがけをした後は、インクを入れていく。インクは薄くしておくと革の風合いが残りますし、何度も重ね塗りして濃く入れると、積み上げの段が見えなくなって一色にまとまります。これは本当に職人それぞれの仕上げ方で、決まりもスタンダードもあまりないように思います。私は革の風合いの良さを残したいので、薄塗り派です。やっぱり電車の中や街ゆく人々の靴を見てても、革のヒールの靴を履いている人って本当に少ないですから。。。革のヒールが主張しているのは好きです。

 インクを付けた後はワックスを熱で溶かし溶かし、熱したヒール用&ウェルト用のアイロンをあてて、面に膜をはり防水性を高めると共に、表面をピカピカにしていきます。

 靴作りでヒールを付け終わると、一応『靴』の形にはなりますが、その後の仕上げもかなり時間が掛ります。しかも、やめ時を決めるのも厄介です。「まだできる、もうちょっと頑張りたい!」って半永久的に仕上げに力を注いでいる生徒さんもいますし、「もういいよ、こんなもんで充分充分!」って、かなりワイルドな生徒さんもいますが、仕上がった靴はその人らしさが出ますので、やめ時は独自の判断に任せてます(笑)。

 アイロンがけが終われば、汚れを落としてから木型を抜けますので、ワクワクしますね。来月は続々と木型を抜ける生徒さん達が出そうですので、楽しみです。木型を抜くって行為はそうそう味わえるものでもないので、皆さんかなり興奮しますものね。木型を抜いた時の笑顔を見るのが私は大好きです。サンドペーパーがけに飽きてきている生徒さん達、もうすぐ楽しいことが待ってますので、頑張っていきましょう!