工具がやってきた!ヤア!ヤア!ヤア! | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

工具がやってきた!ヤア!ヤア!ヤア!

というわけで、イギリスに発注していた工具が本日届きました。工具がイギリスから届く日は、誕生日とクリスマスが一緒に来ったっ!てくらいワクワクします。今回も生徒さん達の注文分と、自分用の新しい工具を色々と入手し、早く使いたくってしょうがない。設計図を描いて特注した工具は楽しみも数十倍ありますので、正月早々良い具合いに仕事にエンジンかかりそうです。


 前回注文した時は税関だか、通関だかで引っかかり、連絡欲しいとファックスが届き、電話したら『これはいったい何ですか?納品書の品を全部日本語に訳してファックスしてください。』と言われ『靴作り用の工具です』って言っても取り合ってもらえず、日本語で『こばごて』とか訳しても税関の人分からないだろうな~意味ないな~とか思ったり、日本で使われていない工具の名前を訳すのって無理なので、『ワニ』とか『馬』とかに習って、『ブタ』とか『カバ』とか名前を付けちゃおうか?って悩みました(笑)。今回はスムーズに届いたので良かった良かった。


 午後は友人の家具職人が仕上がった棚のBOXだけ搬入しに来たのですが、BOXだけでもかなりカッコ良く、感激しました。友人は制作にかなり大変だったようですが、私、一生大切にするわ!!早く生徒さん達に使ってもらいたいです!とりあえず、今回は生徒さん用の工具入れのこのBOX & 棚と、革を置く棚を作ってもらいました。革を置く棚は革を取り出しやすいように工夫して設計してくれたので、今までのように下の方の革を取り出すのに一苦労。。。ってのがなくなりそうです。友人の予定を聞くところによると、私が黒くペンキを塗ったテーブルに木を付けてくれて他の家具との調和をはかり、靴置きの棚をカッコ良くリフォームして、天井の電灯を倍の数に増やして工房を倍明るくし、少し下に照明を下ろし、壁のペンキを塗り。。。。。だそうです。どんだけ私の工房を手塩にかけてくれるの?他の仕事は大丈夫なの?請求書はやっぱり私のところに来るのよね?友人割引はきくのよね?などの心配もありますが(笑)、凄く楽しみです。


 で、友人と70個(!!)の木のBOXを運び終わった後、お互い新年の抱負など語りつつ、話題は工具の話へ。やっぱり家具職人も工具にはこだわるし、楽しみながらどんどん増やしていっているようです。工具の話をしている時って、どうしてみんな目が輝くのでしょう?この、工具を増やす楽しみは、物づくりをする者に与えられた特別な楽しみですね。たまにお客様が工具の棚をじっくり眺め、『これはどんな事をする道具ですか?』と尋ねられたりしますが、『このヒールの上のギザギザを付ける工具です』等とお答えすると『それだけの為の?』と驚かれたりしますが、そのギザギザを付けるだけの、ただそれだけの工具でも、そのギザギザを奇麗なギザギザにする為の工夫が1本の工具に凝縮されていて、ちゃんと使えるようになると感動すらしてしまいます。ギザギザうるさくてすみませんが。。。(笑)、たった1本のギザギザを付ける為に、ただそれだけの為に、こだわってこだわって作られた工具は、本当にうっとりしてしまうほど美しいです。なんでもかんでもに使える万能な工具にはない、一つのことしか出来ないからこその力強さがあります。


 私の好きな映画、『グラン・トリノ』(クリント・イーストウッド主演)の中で、主役の頑固じいさんのクリント・イーストウッドが、愛車72年型グラン・トリノを丁寧にピカピカに磨き上げた後、ビールを飲みながら何時間でも愛車を見つめるシーンがあったりして、靴磨きを趣味とする人達も自分の愛靴を磨いた時のように共感できるのではないかと思いお勧めですが、彼のガレージのシーンが最高で、隣人の青年が彼のガレージ内の沢山の工具を見て驚き『こんなに沢山ぼくには買えないよ』と言うと、『おれは50年かけて集めたんだ』と、とても誇らしそうに言うシーン。壁全体に奇麗に整列された沢山の工具達。大好きな車を自分で修理しながら、自分の車を愛し、何十年も大切に扱う喜び。これって、一つの物を大切に溺愛した人にしか分からない喜びで、使い捨ての物しか知らない人間には決して知りえぬ”愛”だな~と思います。自分が使うものはどんなものであれじっくり吟味し、溺愛できる物を使いたいです。これはもはや買い物でなく、物との”出会い”ですものね。