bench work study
はあ~。今年も楽しかった~!!思いっきり靴作りが出来た。ベビー靴や革素材を一切使わない靴も作ったし、お客様の靴も沢山作らさせて頂いた。生徒さん達も沢山の靴が仕上がった。感無量。本当に有難い貴重な経験も多くあり、今後の仕事に結び付けてもっともっと成長していきたいです。
その他には、多くの人に”足に合った靴”を履いてもらいたい!という思いを、どのように伝えていくかという事を考え、すべての人がビスポークを誂えることは無理でも、すべての人に”靴に足を合わせる”のではないと言うことへのアプローチとして、既製の靴を足に合うように『修正』するという仕事も多くしてきました。足にあたって痛い部分の靴の革を伸ばす修正、大きいサイズの靴のスペースを埋める修正、甲が低くて、フェイシング(靴紐の羽の部分)が全部ぴたっと閉じてしまう靴のフェーシングをしっかり絞れるようにする修正、靴の中で足が滑って親指が当たる靴を滑らないようにする修正等、お客様が履いていらした靴を、『この靴はデザインが気に入っていたのですが、やっぱり足が痛むのでもう捨てます。』とおっしゃったので、『1週間お時間下されば直しますよ!』と思わず言ってしまったのが発端でしたが(笑)、その靴を修正後、お客様がとても喜んで下さって、こういう仕事もありだな、と。その後お客様達にこういうことも出来ますよ。と言うと、どんどん靴が舞い込んで来ました。皆さんとても困っていたのだな~と思うと、やりがいも見出せましたし、既製靴も様々な製法がありますので、こちらも勉強になりました。本当に捨てるのはもったいない靴ばかりでしたので、お役に立てて良かったと思います。ほんのちょっと手をかけるだけで痛みから解放されるのですから、今後も私でお役に立てる事ならば使命と思ってこなして行きたいと思います。
私は英国のカチっとしたドレス・シューズに美しさを感じ、私の頭の隅にはいつもジョン・ロブのサンプル棚にあるライトブラウンのOXFORDの靴の映像があり、何年も嘗め回すように見続けてきたので目に焼きついていますが、あの靴以上の美しさをまだ見たことはなく、いつも目標にしている靴で、私もあの靴を作った職人の域に達したい!との思いもありますが、それ以前に靴を『履いた感覚の美しさ』を伝えたい。ということが根っ子の部分にあります。初めて職人仲間が私に木型を作ってくれ、自分で靴を作って履いた時の感動。一歩一歩足を踏みしめながら足の裏に感じる心地よい革底の感覚。どこにも窮屈さを感じず、土踏まずをしっかり支えてくれる気持ちよい感覚。あるべき場所に骨が収まっているという感覚。背筋がピンとして自然と胸が張れる感覚。あの感覚を伝えたい。だから、『捨ててもいい』とか『履くのが不快』なんて言われてしまう靴は、私まで悲しくなってしまう。そんな窮屈な思いを誰もしなくてすむように、私が出来ることを精一杯、来年も再来年もそれ以後も続けて行きたいです。
私の会社名とお教室名を『bench work study』と名づけたのは、私が自分自身に一生の誓いを立てたからです。『bench』(作業机)の前で『work』(仕事)をし続け、『study』(学び)続けよう!と。決して作業机の前から離れることなく、自分の手で作り続けていこうと。一生、職人でい続けようと。現在、まだまだ通過点。まだまだ学び中。まだまだ進化中。
『bench made by yukiko bassett okawa』という名で、ビスポーク靴を作らさせて頂いておりますが、こちらも決して私が作業机から離れることなく、私が責任を持って作り続けていく事を誓った名前です。今年も新規のお客様からも、既に数足作らさせて頂いているお客様からも学ばさせて頂くことが多く、細かい点で一人一人の靴を自分なりに工夫して、より良いフィッティングを目指して仕事をさせて頂きました。本当に、『足』というものはどうしてこんなに一人一人違うものなのか?と不思議に思いますが、一人一人の人間も性格の違い、趣向の違い、意見の違いがありますものね。だから、人との付き合いは楽しいし、それぞれ人は魅力的だし、面白い。違いがなくちゃ面白くない。そして、その違いをその人の、その足の、魅力として誇れる様に生かすことが大事なのではないでしょうか。
お教室の生徒さんも今年は50人在籍で、本当に個性が強くて面白く、暖かい人達ばかり。私が20年位前に通っていた靴作りの教室は、誰も会話をしませんでした。お教室の雰囲気が無駄話などトンでもない!という感じで、生徒は私を含めて5人で3年位通っていましたが、顔と苗字以外は何も知らずに終わりました。他の人たちの作る靴に興味を持っても、何も聞けず、お互い話合えればもっと色々な事が学べたと思うし、当時の靴作りの幅も広がったのではないかと残念に思っていました。だから、私がお教室を開いたら、皆自分の失敗も成功も笑って話して、お互いの勉強とモチベーションのキープが出来て、同じ目標に向かってがんばれるようにしたいな~。と思っていたのですが、私の願い以上に皆仲良く、ワイワイと失敗を皆で笑って励まして、成功を皆で褒めあう良い関係が出来ていて、とても賑やか。靴以外の話の方が多かったりしますが、色々な人の考えや趣向を聞ける機会は注文靴を作る上でも必要なことで、この人はどんなことに興味があるのか?どんなことが好きなのか?相手の欲しいものを作るのが注文靴屋の仕事なので、相手の気持ちが分からないと作れない。だから、色々な人の気持ちになって物事を考える能力を養って行く為にも、自分の人生を豊かなものにするにも、人との関係ってのはとっても大切だと思います。それ以前に、人との優しい関係は心地よいですよね。
そんな訳で、今年も多くの人から支えられ、刺激を受け、充実した年になりました。日本の政治も自民党は明らかに末期を向かえ、国民一人一人が『生活に必要な事とは?』『良い生活とは?』と、考えさせられる事が多かったのではないでしょうか?老後の心配、医療の心配、教育の心配、食品の心配。。。他人事ではなく、自分のこととして一人一人が声をあげて改善してゆかねばならないですね。総選挙をめぐってやり渋っているのは、民意が政治家に届きつつある事だと思います。世界恐慌の始まりが騒がれていて、大きな企業が倒産したり、危機に面したりしているなか、自給自足生活に憧れる声を多く聞くようになりました。私も毎年何度も自問自答している、『何が本当に必要なものなのか?』『人々が何を欲しているのか?』を考えながら、自分を信じて、自分の手の可能性を信じて、道を切り開いていきたいです。
長くなりましたが、お世話になった方々、お客様方、生徒の皆さん、友人の皆様、影で支えて下さっている方々、本当に有難うございました。皆様のおかげで、楽しい1年をおくらさせて頂きました。心より感謝しています。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。