革靴 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

革靴

 日曜日は稲森靴店のオープンハウスに行ってきましたが(稲森君のHP参照ください)、例によって道に迷い駅から徒歩5分の場所なのに、徒歩30分以上かかってしまった(涙)。。BWSのOさんも私の事を捜索してくれてて、ホントごめんなさい。方向音痴は治るのかしら?今まで方向音痴での失敗や人に迷惑をかけた事が数え切れないほどあるのだけれど、一向に治る兆しもなく、東京中を彷徨っております。治療の仕方をご存知の方、ご一報下さいませ。(本気です!)


 先週の夏の様な暑さの後、ここ数日寒いし、雨が振ったり止んだり落ち着かない天気です。こんな日は出掛けに何を着たら良いのか迷いますが、靴は特にです。スニーカーで出れる時は良いのだけれど、仕事柄、自分の作った革靴を着用しておかないと。。。と言う場面も多いので、雨の日でも仕事関係の外出は革靴を履きます。ただし、雨の日は黒い革靴。茶色の靴はシミになったりもするので、極力避けている。お客様の靴のシミ取りなら良いけれど、自分の靴のシミ取りはなんだか『残業代なし』って感じで極力避けてます(笑)、そんなにしみになる事も少ないのですが。。。。


 え!雨の日に革靴?って思っている人が多いいけれど、イギリス式のハンドソーン・ウェルテット製法の靴であれば、もちろん雨靴じゃないから大雨は決して薦めないけれど、少しの雨なら全然平気です。生徒さんは分かると思うけれど、ソールをウェルトと縫い付ける前に、ソールはたっぷり水を入れたバケツに入れて30~40分位浸します。その位浸さないと、革の中まで浸透しない。オークバークの底材だと、2~3時間水に浸した後、新聞紙で包んでビニール袋に入れて密封し、一晩置くのだけれど、それ位しないと中まで水がしっかり浸透しないからだ。だから、小雨くらいじゃ靴下が濡れる様なこともない。それに、アッパーとウェルトとインソールをしっかりワックスで防水加工された糸で縫ってて、ウェルトとソールの断面も、サンドペーパーで面をしっかり削って〆た後、ワックスをつけてアイロンかけているので、水を通す隙を与えない。しかも、ソールの中に入れているのはコルクです。コルクはワインの蓋にも使われるけど、液体を通さない。試しにコルクを水に浸しても、ずーと浮いている。だから、雨の日に革靴を履いて靴下までびっしょり!なんて経験のある人は、よっぽどの大雨の時に履いていたか、又はその革靴がホニャララ(ご想像にお任せします・笑)だったわけです。


 この間、生徒さんが『日本の道や気候には革靴って合わないのですよね。』って聞かれましたが、これって何回も私は聞いたことがあるし、セメンテット製法で作ってる人がお決まりのように言うのだけれど、答えは『NO』です。日本の道もヨーロッパの道もたいして変わらないですよ。道路はアスファルトですが、アスファルトが革靴に合わないって理由がそもそも根拠がない。革靴だと歩き方によっては爪先部分の消耗が早かったりするけれど、靴のそりの問題で、ある程度減ると止まるし、他の部分は別にゴム底と変わりない。


 それに、ハンドソーン・ウェルトだと底の取替えはソールのみの取り外しでできるので、フィッティングを変えることなく、修理できるって事を考えて作られているので、修理をすればずーと同じ履き心地で、ずーと愛用できるのです!(拍手)。


 で、気候に関しては、日本の気候とヨーロッパの気候の一番大きな違いは湿度。日本は本当に湿気が多い。だけれど、インソールも革で作っている革底は本当に通気性が良いし、汗も吸収してくれるので(だから、中敷はより汗の吸収をよくする為に半分位の大きさしか入れない。)実際は通気性の悪いゴム底の方が日本の湿気には向いていないし、水虫になりやすい。革底は削れ易いって言われているけど、厚さの問題でもあり、ゴム底の薄いソールも同じ用に削れ易いです。そもそも、道を歩いて削れるってのは現在存在する底材では当たり前な話で、削れない底材って有り得ないから、ポイントがずれている。どのように、履き心地を変えずに長年履く為に修理が可能かって事にポイントを置かないと話しになんない。それに、実際に大人が一日の生活の中で靴を履いて歩いている場所は、圧倒的にアスファルトの上以外です(もちろん仕事によりますが)。皆さんも、実際に朝靴を履いてから、自分がどのような物の上をどの位の時間歩いているかチェックしてみたら面白いかと思いますよ。結構、会社のカーペットやフローリングや床材がほとんどだって気づいていない人って多いもの!


 日本は靴の文化が浅いからなのかな?根拠のない固定観念で革靴に対する誤解している意見が一人歩きしていて驚く。今まで、日本ではしっかり靴作りが行われていなかった証拠です。靴作りそのものも、靴作りの知識も、製法の理論も、デザインも。日本の靴は、まだまだこれからだ。