浅草めぐり | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

浅草めぐり

 あつい。。。。。   ベランダ園芸の為に梅雨を待ち構え、水分をあまり欲しない植物の行き場をあれこれ考えていたのに、梅雨はどこぞへ?


 本日も暑かった。。。今日は朝から浅草周りで、どっと疲れが出てきたので本日は早々に仕事を切り上げて帰宅。疲れたけれど、収穫の多い一日でした。


 まずは『やすり屋』さんへ行って来ました。手作りのやすり屋さんで、沢山お話も聞けて大変興味深かった。本日は木型用のやすりと、ヒール用のきやすりを購入しましたが、ヒール用のきやすりが掘り出し物でした。お値段はお教室で使っている物の10倍程する高価なものでしたが、幅がヒールと同じ位あり、両端がカーブしてあるのでまさにヒールの為に作られた良い設計。特注で色々作っていただけるということで嬉しい限りですが、現在やすり職人は日本に6人程で、注文を受け付けてくださる方は2名だそうです。本日伺った所も相当忙しいようで、注文してからかなり時間がかかってしまいそうですが出会えて良かった。


 その後、『手植えブラシ屋』へ。靴磨き用のブラシは色々出ておりますが、ブラシは『手植え』に限る!!と友人に言われ、見に行ってきたのですが、歯ブラシから染色用、お風呂洗い用、ヘアブラシ。。。。と品揃えは豊富でしたが、靴磨き用のブラシは4千円弱でしたが、なんだかあまりに『和』なデザインというか、デザインがあまりよろしくないというか、作り手の心が反映されていないというか。。。。(友人談)  購入意欲が出ませんでした。ちゃんとデザインすればもっと売れると思うのだけれどな~という感じ。ここらが、浅草界隈と時代とのギャップかな。浅草へ行くたびに思うのですが、なんだかしぼんで行くのを待っているというか、時間に任せてなるがままにさせているというか、活気や復興の気配が感じられない。靴を作っていく上で、革屋や工具屋が近くにあると非常に便利なのですが、ワークショップを浅草に構える気が全然しないのはこのような理由から。個人的には好きな町ですけれど、『ものづくりの空気』がしないものな。物は売ってるけれど。。。。


 その後、バフのブラシ屋さんへ行って色々試して、見てまわって、新しいものを購入。バフ用のブラシは種類が豊富ですが、どれが使い良い物なのか選ぶのが難しい。このお店の方もおしゃっていましたが、『職人さんがみんな同じものを使ってくださるとこちらも楽なのですが、本当に皆さん使うものが違い、出したい風合い、力加減も違いますので。。。』ってな訳で、とりあえず納得するものを、納得するやり方で出来るようになるまでは、まだまだ時間がかかりそうです。ブラシ1個の値段も高いですし。。(涙)


 その後、革屋さんへ行って海外のタンナーさんの状況確認と、新しく入ってきたタンナーの革を見せて頂く。2時間近くも話していたのですが、ヨーロッパ事情はほんと大変です。革はまたまた値上げですし。でも、かなり多いい情報の収穫があり、ただでは起きない私です(笑)。革はやはり『原皮』が命。良いメーカーの革は結構原皮の出所が同じだったりしてます。だから、その年の原皮の良し悪しによって皮の出来もかなり変わってくるわけで、ワインと同じですね。ふふふ。そんな事も含む革を買う秘訣を知ってしまった。秘訣だから教えられないけれど。。。ふぁふぁふぁ(悪魔の笑い) ゲホゲホ(バチが当って咳き込む)


 その後、底材屋さんへ顔を出し、また値上げするとの事。仮縫い用の底材等は国産を使っておりますが、どこへ言っても値上げ値上げで、ドル、ポンド、ユーロ高に便乗して国産も高くなってるの?と尋ねると、原皮は海外だから。。。との事。日本の自給率の低さに驚きです。


 日本の食糧の自給率は40%程ですが(本当はもっと低そうですが)、革においてはどのくらいなんだろうか?自分の国で賄えないということは、恐ろしいことだと思うのです。私は日本の農家を応援する為&安全な食品を口にしたい為、生活生協の低農薬野菜を購入しておりますが、完全な無農薬だともっと安全ですが、すべての人の口に入る程の生産は不可能で、『高い値段を出して、食べれる人だけが安全な物を食べる』という事がどうも地球全体のことを深く考えていないような気がして、低農薬にしております。低農薬でも国の規定の10分の1、100分の1位の農薬の量なので体に害はほとんどなく、害虫による被害や不作も無農薬よりない。自給率アップを目指せると思うのですが、革の場合、どうしたものだろう?日本の靴業界は大量生産、大量消費ですので、原皮が悪ければスプレーかけて、革本来のムラやトラを消してしまって、一枚から取れるだけ取る。それこそ無駄なく使う。『もったいない』の精神といえば聞こえは良いですが、もったいないのは『革』自体でなく、『お金』ですから。う~ん。革の話をすると暗くなるな。ほんと、日本がんばれよ!と力みます。


 小さな日本の注文靴業界だけでもがんばらないとね。誠実に魂上げてがんばろう!!今日は本当に疲れたが、明日も1件浅草へ行かねば。。。。