ビスポークならでは。
今日はお客様のフィッティングの為銀座へ。昨日の事件により気分が落ちていて、「今日のフィッティングでも落ち込む結果になるのでは。。。」と心配しながら出かけたのですが、フィッティングOK!!本縫いへGO!で、最終チェックの為以前に伺っていた革の再確認をしていたら、黒のカーフがエレガントすぎてデザインのカジュアルさが今ひとつ引き立たないことが気になりだし、二人でどうしようかと考えていた時、お客様が仮縫いの靴の上に型押しの革を何気なくおいたら、そのバランスがとてもよく、『これ良くない?』と二人で納得。(私は思わず拍手!!)型押しとのコンビで作ることに。偶然が生み出したNICEなデザイン!こういうことが起きるから、ビスポークって楽しい。この世にたった1足の靴。自分の足にぴったりと合い、自分で考えたデザインであるからこそ本人にマッチする。
上記のことにより気分がだいぶ良くなって、快調!仕事の方も少しペースダウンできるくらいに見通しが付いてきたので、来週あたり時間をとって楽しみにしていたロダンの彫刻を上野に見に行けそうです。私は絵画より彫刻にとても惹かれるのですが、立体の力強さ、迫力に圧倒されるのが好きです。靴が好きなのも靴が3Dな為力強さを感じるからなのですが、力強いものにどうしてこんなにも惹かれてしまうのでしょうか?彫刻の他には建築物も大好きで、特に教会は大好きです。私は宗教は信じていないのですが、宗教の元になされた芸術の凄さは人間技を超えてると思います。14年位前に、教会巡りの旅へ友人とフランスへ出かけたことがあるのですが、感動ものでした。静寂な教会の中にぽつんと座り、柱の美しいアーチや精密な幾何学模様、宗教画、彫刻、ステンドグラスを神聖な気持ちで眺めました。教会は集合芸術です。人間の「手」はこんなにも美しいものをつくれるのかと感動の涙を流しました。私も自分の「手」で人を感動させられるような物を作りたい!今もその時の気持ちは私の中にありますが、まだまだ道は遠そうです。もっともっと多くのことを感じ、見、聞き、考え、手を動かし、自分の細胞の一つ一つに蓄えて生きたい。靴は芸術では決してありません、手製の靴は日常品であり工芸だと思うのですが、美しさを表現する上では芸術家も工芸家も同じ志を持ってもおかしくないと思います。アーティストとアルチザンは両方語源はARTですから。ではARTとは何でしょうか?これはとても難しく未だにちゃんとした定義はないのですが、私はARTには人生を豊かにし、心を自由にし(靴は足を自由に!)てくれるものであって欲しいと思っています。