クリッキング | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

クリッキング

昨日今日はパターン作りとクリッキングに精を出しました。ちなみに”クリッキング”とは栗の王様ではなく、革の裁断のことです。クリッキングはかなり神経を使います。革は同じ1枚の革でも場所によって厚さが違うので、左右の靴を同じ厚さにする為に革の中心線(牛の背骨部分にあたる)から左右対称に取ります。まずはヴァンプ(甲革)のような大きなパーツから傷、引っ張っても消えないしわ、ベインマーク(動脈などの線)を避けて丁寧に場所を選ぶ。クウォーター(腰革)はフェーシング部、クウォーターの外側は特に綺麗な部分を選ぶ。トウのキャップは強くて(丈夫で)キメの細かい部分から。これがなかなか難しい。年々革の質は落ちる一方で、年々クリッキングが大変になってゆく。革の質は決して革屋さんのせいではなく、牛の飼育状態によることが大きい。狂牛病の為に牛を大量に処分しざるおえなかったり、狭い牛小屋で抗生物質と成長剤漬けにされた牛達の革はしまりのない体格と共に、革のキメが荒く、ベインマークが多く、伸縮性が悪くなるのです。


 革の危機は靴屋にとって重大です。ヨーロッパの先進国ではベジタリアンがかなり多いい。ルイ・ヴィトンは早くから革の危機に目をつけて成功しましたし、今後も革の問題は合皮なのだから問題ないでしょうね。ヴィトンを持ちたいとは思いませんが、たいしたものだと思います。


私のイギリスの友人も2人に1人はベジタリアンで、私が肉汁を滴らせながらローストなどを食べていると、嫌~な顔をして『ベジタリアンへの薦め』をとくとくと説かれたりしたものですが、「革を扱う職業の者が肉を食べなくてどうする!!しかも、肉は旨い!!」と反論して、口論へと発展して行きましたが(笑)、皆さんもなるべく自然飼育の良い肉を食べて貢献してください。(笑)


欧米には、ベジタリアンの他に”ベーガン”と呼ばれる、肉も食べない革製品も身に着けない人達と”フルタリアン”と呼ばれるフルーツしか食べない人達もいました。


話が脱線しましたが、クリッキング。現在はゴムシートの上で革を裁断しているのですが、これがあまりよくない。ナイフの入りが今ひとつ力を入れないと綺麗にいかない。イギリスでは、クリッキングはライムの木の分厚い板(クリッキング ボード)の上で必ず裁断していました。ライムの木は程よく柔らかいので革を裁断するとき一緒にボードにもナイフがしっかり入る為、切り口がスパッ!っと力を入れずに切れる。クリッキング ボードは120cm×100cmくらいの大きさで厚さもかなりあり、余りの重さの為持ち帰るのを断念したのですが、悔やんでいます。どなたか、ライムの木材を見つけた方どうぞお知らせくださいませ。(頼むよ~みんな!)