勉強会
今日は月に一度の「勉強会」の日。若手の靴職人が13~16人毎回集まり、情報交換。若手といっても、ほとんどの人が靴歴10年前後で、専門学校や教室で講師を務めていたり、ビスポークに徹していたりする。靴職人の年齢層自体が、70歳以上の職人の次の職人世代は30~40代で、50、60歳代が不在と言う不思議な業界。で、我々の世代はかなり平和主義だと思うのだけれど、それがこの「勉強会」にも大きく役立ち、気持ちよく「オープンマインド」と「ギブ&テイク」が出来ていて、毎回得ることも多く、内容が濃く、とても楽しんでいる。(勉強会の様子をライターの竹川さんが書いてくれています。興味のある方はこのアドレスの7月6日の記事をご覧ください。http://allabout.co.jp/fashion/shoes/nlbn/NL000301/bnbody_1.htm
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今日は、[スキンステッチ」について。全員、スキンステッチの色々を持ち寄り、使う工具、糸、やり方を説明。今回持ち寄ったもので13種類。日本では、名前がさまざまで紛らわしいので、今回名前を決める事まで発展。今日決まらなかった物もあるが、決まったステッチは各々教える専門学校や教室で今後使い、この名前で定着させようと思う。今までは職人との会話で、「ここをスカイビングして、糸を貫通させるやつ。」とか、説明していたりしていて面倒くさかったからね。
その他、同世代の工具屋さんも参加して、新たに製作してくれた「ワニ」と「コテ」を見せてくれる。「ワニ」は釘を打つメンも大きめで、重さも適度にあり値段も6千円くらいで出してくださるとの事。かなり良い出来です。今後、数個購入し教室で使おうと思ってる。「コテ」は改良中だが、こちらが角度や幅、長さを設計図にして書いたものを、そのまま精密に作ってくださるとの事。うれしいことこの上ない。彼のおかげで、日本での工具の問題はかなり解決しそうです。この工具屋さんは「小島台助」の小林さんです。小林さんは「ポンチ」も改良してくださり、かなりよい物を作ってくださっている。次は「2:1のポンチ」もお願いしているが、これは難しいとの事。私は理想の大きさの、サイズと幅と二つの穴の距離が頭にあるのだが、どこでも難しくて作れないと言われるか、高いお金を出して注文して、私が設計した物でないものが出来上がってきたりして、なかなか手に入らない。今日、小林さんもおっしゃっていたが、工具職人は後継者不足で、どんどん潰れていき、鍛冶屋もほとんどなくなってしまい、残っている鍛冶屋に仕事を頼んでも、少ない仕事だとお金にならないのでやってくれないとの事。本当に、この業界は何から何まで大変な環境にある。だからこそ、面白いんだけれどね。目標に向かっている過程は、目標を達成するより遥かに楽しいと思う。