靴の絵 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

靴の絵

今日は朝から家で、デザイン画を書く仕事。ビスポークはとりあえず何でも顧客の要望に応えるわけで、どんなデザインでも作るのだけれど、デザインを店に来てから選ぶ人もいるので、イメージしやすい様にサンプルの靴の他に、十数足のデザイン画を店において置くようにする為の物。しばらくしっかりとデザイン画を描いていなかったので、時間がかかること、かかること。。。。それに、家で仕事をしていると、トイレに立ち寄っただけなのに、仕事机に戻る前に洗面所の掃除をしだしたり、冷蔵庫からアイスクリームを取り出したり、息子におもちゃの鉄砲で撃たれれば、死ぬまねをしたり、私は家では音楽をずーと流していたい人間なので、CDをあれこれ選んだり。。。。とにかくワークショップで働いている時にはしないことをして、効率が悪い。仕事の手を休めて、夕飯の支度を始めると、仕事のことが気にかかって料理の手を抜いたりして、仕事も主婦業も中途半端になってしまう。毎日、家で働いている人はどのように管理しているのだろうか?不思議である。


 そんなこんなで、今日は5枚しか仕上がらず、「とほほ」な一日だった。しかし、デザイン画を描くことは嫌いな仕事ではない。高校生の頃は、欲しい靴があると、その靴が手に入るまで教科書の隅にその靴の絵を何十個でも描いて、「あー欲しい、あー履きたい!」と思っていた。一番苦手だった、歴史の教科書には全ページの余白に靴の絵がぎっしり描かれていた。一番沢山描いた靴は、ホーキンス社のDR,マーチン底のタッセル付のスリッポン。これは確か当時1万9800円で高校生の身にはかなり高価な代物だったので、手に入るまでに数ヶ月を要した。チェリー・レッドの色合いといい、ごつい感じといい、ロンドンぽさといい、お金が貯まるまで、何度も渋谷のお店に見に行っては、ため息をついていた。とにかく購入後も磨きに磨いたお気に入り。購入した日は、「明日雨じゃないように。。。」と寝る前にお祈り(笑)したことも覚えている。今では、そこまで欲しいものもなく、執着できるものもないのだけれど、ああいう気持ちを知ったからこそ、今自分はこういう仕事が持てたのではないかと思う。ありがとう。ホーキンス。ありがとう。DR.マーチン。