靴を綺麗に作るには パート1 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

靴を綺麗に作るには パート1

 「時間をかけゆっくり作れば綺麗に出来るわけではないと悟り。。。」と”こるてぃ”さんからコメントをいただきましたが、1足目を仕上げた人達が2足目を作るにあたって目標とすることは「1足目よりきれいに、上手に。。。作りたい。。」なのではないでしょうか?では、どうしたら「綺麗に」作ることが出来るのか?私もまだまだ試行錯誤中ですが、まとめて見たいと思います。


 靴作りが難しいことの一つに「工程が多い」ということがあります。たまに、靴作りを少しかじった学生に「やっぱり、綺麗に見せるのには、フィニッシングに時間をかけるべきですよね。」などと質問されますが、答えは「ノー」。また、「インソール」の作りが雑な物は、出来上がってインソール自体は見えなくとも、靴の仕上がりは「雑」な出来になります。つまり、すべての工程が靴全体に影響します。「工程が多い」靴作りのすべての工程をしっかり把握し、それぞれの工程の何処をどのように作るべきなのかを知ることが大切です。


 まず、第一回目の今回は「靴を作る環境」について。「え~靴自体のことじゃないの?」などと言うなかれ。これは、靴作りだけでなく、ものづくり全体においていえることだと思います。環境が整っていなければ、うまくゆくはずのものも失敗します。いくら腕の良い職人でも、錆びたナイフを持たされたら、綺麗な靴など作れません。


 その一: 照明はしっかりと靴と手を照らし、特に靴には陰が出来ないようにすること。教室で週に2度は私の口から発する「90度に!直角に!」という言葉、これば重要なポイントです。そして、実際エッジを90度にするためには、ナイフと革との角度もありますが、しっかり自分が切りたい部分が見えていることが大切です。(ワークショップは地下で薄暗かったのですが、新ワークショップは光が入りそうですし、ライトも工夫したいと思います。)

 

 その二:工具の手入れ。ナイフをシャープにすることは、言い飽きましたが、まだ出来てない人がいます。これは時間の無駄ですし、仕上がりにも大きく影響が出てきますので、やる気のある方は教室に来る前にしっかりと「ダイヤモンド入り研ぎ石」とラップ・スチィックを使い、シャープな状態のナイフを持参してください。もしくは早めに教室に入って、研いでおくこと。ナイフ以外の工具も同じこと。使う前にはしっかり手入れを忘れずに。


 その三:床にごみがないように。これは特に糸作りの時ですが、床に革の削りかすなどあると糸にくっつき、ごみ入りのでこぼこした糸になってしまいます。糸で縫っているときも同じ。


 その四:正しい工具を使う。なんだか、教えた工具と違うものを使う人を時々見かけます。例えば、革を漉く(スカイビング)の時は必ず「ガラス板」を使ってください。たまに木の板を使ってスカイビングをしている人がいますが、板もぼこぼこになりますし、スカイビングもうまく出来ませんので、どうかおやめになって。。。


 まず、環境を整える事から始めましょう。何か作業がやり難い点などありましたら、遠慮せずに言ってくださいね。改良していきますので。


 次回は「クリッキング」について書きたいと思います。お楽しみに。